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102 入社四年目4月。

あー… またやってしまった… 飲みすぎた。 『大丈夫か?』 『大丈夫です…』 『帰れる?』 『帰れます。』 そう言いながらもおぼつかない足取りに西野さんが肩を貸してくれた。 『大丈夫ですから。』 『それじゃ無理でしょ。何?わざと誘ってんの?』 『いや、誘ってませんから…』 なんなんだこの人は。 どこまでが本気でどこまでが冗談か全くわからない。 仕事はキッチリしているくせにプライベートはこんな感じなのか… 『うちココなんで…。』 電車に乗ることもできず、タクシーを拾ってもらったもののなぜか隣には西野さんが座っていて… 『部屋まで送るよ。』 『いや、本当大丈夫なんで。』 あっ…小宮さんに電話しなきゃ… そう思いながらタクシーを降りて携帯をポケットから取り出す。 『あっ…』 手が震えて携帯を地面に落としてしまった。 『やっぱ送るよ。』 そう言いながら携帯を拾ってくれた西野さんが俺の隣を歩き出す。 『いや、本当結構ですから。』 そう言いながらマンションのエレベーターに乗り込み自分の部屋の階ボタンを押す。 扉が開き部屋に向かって廊下を進む。 『えっ…!?』 驚きのあまり言葉が出ないでいると、隣にいた西野さんがフッと笑った。

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