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103 入社四年目4月。

『なるほど…そういうことね。』 西野さんの意味深な笑いに心臓が止まりそうになる。 『山崎。お前酔ってんのか?』 少し怒りぎみの声にドキリとした。 『小宮さん…なんで…』 俺の部屋の前にはなぜか小宮さんがいた。 『なんでじゃねぇよ。部屋で話そう。』 『ちょっ…』 グイッと腕を引っ張られ小宮さんの方に体が倒れこむ。 『あれ?送ってきた俺に礼もなし?』 ニヤリと笑いながら言う西野さんに頭を下げる。 『ありがとうございました!!ごちそうさまでした!!』 ヒラヒラと手を振って帰っていく西野さんを見ていると頭の上から小宮さんの怒った声が聞こえる。 『山崎、鍵。』 『あっ!!は、はい!!!』 慌てて鞄から鍵を出して扉を開けるとバンッとすごい音を立てて扉の内側に小宮さんが手をついた。 俺は扉と小宮さんの間にいて、身動きが取れない。 『山崎、俺の顔を見ろ。』 なぜだか顔を見れず下を向いていると、グイッと上を向かされた。 『………』 『西野になんかされた?』 『な、なにもされてませんよ!!』 『じゃぁなんか言われた?』 『………』 『言えないこと?』 『お、俺のことが…タイプだって…でも!!そんなこと絶対冗談だと思うし!!!』 そう叫ぶと小宮さんが扉についていた手の力を緩め、床に膝をつくと、俺の腰に抱きついた。 『山崎…ごめん、俺いい年した大人なのに余裕ない…』 『えっ?』 『俺、お前が他のやつのところへ行っちゃうかもって心配なんだよ…』 な、なんか…可愛い。 居ても立ってもいられず、小宮さんの頭を撫でる。 なんだろう…すごく嬉しい。 『小宮さん…』 名前を呼ぶと、下から啄ばむようにキスをされた。 『山崎…今すぐ抱きたい…』 いつもの掠れ声で言われ、2人で靴を脱ぎベッドへともつれ込んだ。

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