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106 入社四年目4月。
二次会に行く気も失せてトボトボと家路を歩く。
隣には小宮さん。
今日は明日が休みだからと泊まることになっていた。
『なぁ、城田ってキス魔なの?』
『えぇっ!?知りませんよ!!そんなの…』
き…気まずい…
城田コノヤローと心の中で怒る。
『拭いとけ。』
そう言われハンカチを投げられた。
小宮さん本当可愛いとこあるよな…
やっぱちょっとお酒入ってるからかな?
渡されたハンカチで口を拭った。
『小宮さん…』
『ん?』
『なんかすみません…』
『なにが?』
『いや、なにもかも俺が悪いというか…』
確かに俺が悪いのかもしれない…
でも、よりにもよってなぜこんなに俺の周りにはゲイが多いのかと!!!
神様を恨みたくなる。
まぁ、モテるに越したことはないんだけど…それでもやっぱり気まずい。
『山崎は悪くないだろう?今回のことだって俺が勝手に心配して帰ってきただけだし。』
あっ…でも帰ってきてよかったのか…
と、ボソリと呟かれ心が痛む。
俺、酒やめようかな…
いや、弱くないんだし加減すればいいだけなんだけど…
『山崎。』
『は、はい!!』
『手、繋ごっか…』
『えぇっ!?』
公共の場でそんなこと!!
そう思うけれど、震える手は小宮さんに伸ばしていて…
『あったけ…』
4月になっても夜はまだ少し冷え込むけど、繋いだ手が暖かい。
恥ずかしいけれど、なんだかホカホカした気分で俺たちは家に向かったのだった。
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