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112 入社四年目5月。

『来てしまった…』 あの事件から一週間。 小宮さんに黙っていることがずっとモヤモヤして後ろめたい気分のせいか、まともに電話で話すこともできなくて… 小宮さんには土曜日は休みだけど、日曜日は仕事が入ってしまったから東京には行けないと言われたのでそれなら…と、俺が押しかけてしまった。 『大阪全くわかんない…。』 駅の外に出てみると研修の時に小宮さんと歩いた道に出た。 連絡もしないでいきなり来るとかかなり迷惑だよな… でも来てしまったものは仕方が無い。 帰るわけにも行かず、電話をしてみることにした。 「もしもし。」 『も…もしもし。山崎です…』 「おう。どうした?」 『あ、あの…今来てるんです…』 「ん?どこに?」 『大阪に…』 「えぇっ!?今どこ!?」 『新大阪駅です。』 「正面で待ってて!!すぐ行く!!!」 小宮さんがそう言って電話を切ってしまった。 俺、本当迷惑だよな… 人の予定も聞かずに押しかけるなんて。 まぁ…急に小宮さんが来てくれるとか、俺なら嬉しいんだけど…。 『山崎!!!』 ハァハァと息を切らせた小宮さんが俺を呼んだ。 『わざわざ走ってきてくれたんですか!?』 『うん…早く会いたくて…』 う…サラリと言われてしまった… 『いきなりすみませんでした。』 『ん?なんで謝んの?』 『いや、いきなりとかかなり迷惑だなと。』 『全然。むしろ嬉しいし。』 眩しい… ニッコリ笑った小宮さんの笑顔に見惚れる。 あぁ…今日は絶対西野さんにされたこと言って謝ろう… ギクシャクするかもしれないけど、黙ってるよりはマシだよな。 そう思った。 『昼飯まだだろ?』 『あっ…まだです。』 『どうする?食いに行く?』 『小宮さんの…』 『俺の?』 『オムライスが食べたいな…と。』 『OK!!じゃぁ買い物行こう。』 俺の頭をガシガシと乱暴に撫で、小宮さんが歩き出す。 小宮さんに触れられた部分が熱い。 手で髪を直しながら、小宮さんの後を追った。

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