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113 入社四年目5月。

『まだちゃんと片付いてないけど入って。』 『うわぁ…』 片付いてないもなにも結構広くて綺麗な部屋に驚いた。 『エントランスから思ってたんですけど、結構いいマンションですよね?』 『うん…なんか急な転勤だからって会社が斡旋してくれたんだよ。ラッキーだけど、一人で住むには広すぎる…』 『なるほど…』 一人で住むには…その言葉を聞いてあの夢を思い出してしまった。 彼女+子供…家族3人なんて余裕で暮らせるだろうな。 はぁ…なんか病んできたかも… 『山崎?大丈夫か?顔色悪いけど。』 『えっ?あっ…大丈夫です!!』 『そうか?それならいいけど…飯食える?』 『はい!!食べれます!!!』 『じゃぁちょっと待ってて。作るな。』 そう言ってキッチンに向かう小宮さんを見る。 もしも一緒に暮らしていたら毎日こんな感じなのだろうか… 『俺も手伝います!!というか、教えてもらおうかな…と。』 『おう。そうしようか。じゃぁまずコレとコレを切って…』 包丁の握り方すらままならない俺に後ろから抱きつく形で教えてくれる。 『危ねっ!!指切んなよ。』 耳に吐息がかかって久しぶりに触れたということもあってかムラムラしてきた。 って、俺はアホか。 集中、集中。 『なんか…新婚さんみたいだな…』 ボソリと呟かれた小宮さんの一言に耳まで真っ赤になるのがわかる。 『し、新婚さんみたいって!!』 焦って振り返るとチュッと優しいキスをくれた。 『一緒に住みたいな…』 少し寂しそうにそう言われ俺も無言で頷く。 『今は無理だけど、いつか絶対…な?』 『はい…』 俺たちはいつか一緒に住めることを夢見て今は頑張ろう…と誓い合った。

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