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115 入社四年目5月。小宮side

『忙しいのに悪いな。』 『いや。で、何の用?』 山崎にあのことを聞いてから居ても立ってもいられず、出張を理由に東京にきた。 そして、自分の椅子に腰掛ける西野を無理矢理空いていた会議室に呼び出した。 『お前、山崎に手出しただろ?』 『なんのこと?』 『なんのことじゃねぇよ。とぼけんな!!』 『山崎なんて言ってた?キス気持ちよかったです…とか?』 ニヤニヤしながら言ってくる西野が憎い。 『お前、ふざけんな!!!これから一切山崎に触れるな、関わるな、手出すな!!!』 『関わるなは無理じゃない?一応直属の先輩だし。』 『……』 確かにそうだ。 今山崎の一番近くにいるのは俺ではなくてコイツだ。 山崎を守ってやれない… 悔しくて悔しくて堪らない。 『俺さぁ、結構本気になっちゃったかも。』 『はぁ!?』 『この前のキスした時の顔、忘れらんないんだよね。』 『お前!!!』 『普段はどっちかっていうとかっこいい感じで、可愛い感じじゃないのにあの時はすごく可愛くてさ…最初はからかうだけ〜とか思ってたけど、結構マジになっちゃったかも。』 ニヤリと笑いながら言う西野の胸ぐらを掴む。 が、ここは会社だということを思い出し、慌てて手を離した。 外なら絶対ぶん殴ってたな…。 『山崎は絶対お前のところには行かない。』 『うわ…すっげぇ自信だな。俄然ヤル気が湧いてきたよ。』 どこからそんな自信が湧いてきたのか… 気づいたらそんなことを口走っていた。 俺は山崎を手放すつもりはないけれど、実際のところ山崎の気持ちはわからない。 俺だけだと言ってくれているが、大阪と東京じゃ実際遠すぎる。 ましてやお互い社会人で仕事に追われてりゃ満足に会えないしな… それに比べて西野と山崎は… はぁ… 怒りを通り越して不安しかない。 でもそんな顔を西野に見せるわけには行かず、キッと睨みながら言う。 『山崎は絶対に渡さない。』 それだけ言うと俺は会議室を後にした。

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