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116 入社四年目6月。
はぁ、疲れた…
仕事が終わり家路につく。
先月、初めて大阪に押しかけた。
俺の我慢が限界だったのだ。
会いたくて会いたくて仕方が無くて…
6月も終わりに差し掛かり、今月はまだ一度も小宮さんと会えていない。
はぁ…
また押しかけちゃおうかな…。
さすがに何度も押しかけるのはウザいかな?と我慢している。
というか、嫌われるのが嫌で押しかけられないでいるのだ。
いや、押しかけとかじゃなくて行ってもいいですか?とか聞けばいいのにな…
俺はアホか。
なんでこうも臆病かな…
色々考えながら自分の部屋の階に着き部屋の鍵を開ける。
『あれ?』
ガチャリと鍵を開けたはずなのに扉を開けると鍵が閉まっていた。
ん?鍵開いてた?俺が今閉めたのか?
……………泥棒!?
そんなことを考えながら、逆に鍵を開けずにこのまま閉じ込めて警察に…
とか色々考えているとガチャリと中から扉が開いた。
『こ、小宮さん!?』
『おかえり。』
そこには小宮さんがいて、嬉しさのあまり涙が流れた。
『山崎!?』
『すんごく会いたかったんですよ!!!』
柄にもなく大泣きする俺を優しく抱きしめながら頭を撫でてくれた。
って、俺ダサ…
会って泣くとかどんだけ女々しいんだよ…なんて思うけど、嬉しいものは嬉しいんだからしょうがない。
『小宮さん、鍵使ってくれたんですね!!』
先月押しかけた時に小宮さんが部屋の合鍵をくれたので、それなら俺もと大阪で作って渡したのだ。
『うん。なんかちょっとドキドキした。』
『ってか、部屋めっちゃ汚かったですよね!!すみません…』
『いや、全然。自炊も頑張ってるみたいだしな?』
ニヤリと笑われキッチンに目をやり赤面した。
小宮さんにオムライスを教わり、それだけでも完璧に作れるようになりたいと暇さえあればオムライスを作って食べていたわけで…
でもなぜだか洗い物がすごく面倒臭くてフライパン以外の食器はなくなってから洗えばいいかとシンクに放ったらかしだったのだ。
めっちゃ恥ずかしい…
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