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119 入社四年目6月。

『はぁ!?出張ですか!?あっ…すみません…。』 部長に向かって「はぁ!?」とか言ってしまった。 でも内容があまりにも衝撃的すぎて、この言葉が出るのは仕方が無いと思う。 なんでも大阪の本社で開かれる新人育成のための講義に成績優秀な西野さんが選ばれて、なぜか俺もセットで行かなくてはいけないというのだ。 何が楽しくて西野さんと二人っきりで出張なんて… それも小宮さんがいるところへ二人で行くとかありえない。 というか、またあの二人のギスギスした感じに挟まれるかと思うと今からゾッとする。 なんで俺なんだよ… そう思うのに部長は「お前だから任せたいんだ」とか言ってくるし… はぁ…マジで憂鬱なんですけど。 『西野さんと出張ってマジ?』 席に戻るとアポの準備をしていた天野さんに声をかけられた。 無言で頷くと哀れ目で「ドンマイ」とだけ言われた。 自分の身は自分で守るしかないよな… って、あれから西野さんは俺に何も言ってこないし、何もしてこない。 俺が勝手に気にしてるだけか? そう思うとなんだかバカらしくなってきた。 普通に先輩と出張に行くだけ。 そうだろ? そう考えて少しでも気を紛らわせる。 意識する方が負けだ。 一ヶ月近くもあるまだまだ先の研修を今は頭から排除して仕事に勤しんだのだった。

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