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128 入社四年目11月。

去年の小宮さんの誕生日、初めて結ばれた。 今年も二人でお祝いできることに喜びを感じる。 思い出の家は手放してしまったけど、転勤から戻った小宮さんはいい物件を見つけたととても喜んでいた。 今日は小宮さんの誕生日。 初めて新しい家にお邪魔する。 住所を聞いても場所がわからないので駅で待ち合わせをして家に向かう。 『山崎、ちゃんと道覚えろよ?』 『はい。』 そう言われたので必死に辺りをキョロキョロしながら風景を頭に叩き込む。 いつでも来いよってことでOK? と、勝手に想像してニヤける。 大阪の部屋の合鍵はもらったけれど、新しい家の合鍵はまだだ。 この家の合鍵も欲しいだなんて図々しいだろうか。 『ココ。』 着いたところは結構大きなマンションで、なんとも家賃も高そうなところだった。 係長さんになって気持ちでも大きくなったのかな?なんて思いながら部屋に案内され、小宮さんが扉を開ける。 『うわ…』 大阪で住んでいたマンション並みに広い部屋はとても綺麗に片付けられていて、1.2個ダンボール箱が残っているだけだった。 『広いだろ?』 『広いですね…』 いつぞや見た夢を思い出して落ち込む。 彼女+子供…余裕ですね…。 『コレ。』 いらぬ想像をしながら落ち込んでいる俺の目の前に一つの鍵が差し出された。 『あっ!!!合鍵ですか!?嬉しい!!!』 喜びながら受け取る。 『合鍵じゃなくて…お前の鍵。』 『え?』 『山崎…一緒に住まないか?』 いきなりの言葉に俺は固まる。 これは合鍵じゃなくて、俺の鍵で… 一緒に住まないか? って…同棲ってこと!? 『小宮さん!?』 『ダメ?』 『喜んで!!!』 そして俺達の同棲生活がスタートすることになった。

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