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136 入社四年目3月。

『おめでとう!!!』 『おめでとう!!!』 たくさんの「おめでとう」という言葉で溢れ返る会場。 すごく幸せそうな隼人の笑顔に奥さんの嬉しそうな笑顔。 その場に一緒にいるだけでとても幸せな気分になった。 『隼人幸せそうだな。』 隣で手を叩きながら裕也が言う。 『本当幸せそう…』 羨ましい。 それが素直な感想だ。 俺たちは結婚できない。 今までなんとも思ったことがなかった日本の法律を疑問に思う。 なんで同性同士は結婚できないんだろう… そもそも外国では同性愛者を受け入れているところもあると聞く。 結婚までできる国もあるのに、日本はなんて遅れているんだろう。 男女との結婚の違いなんてそうないと思う。 確かに男同士で子供を授かることはできないが、結婚は子供を授かることが全てではないと思う。 ただ一緒にいたい… それをきっと形に残したいと思ったときに結婚するのだと思う。 紙一枚でくっついたり離れたり。 おかしな話だと思うが、俺は憧れている。 小宮さんと結婚できたらな… いつもそう思っている。 いつかできる日がきたらな… と、夢見ている。 裕也や隼人は受け入れてくれたけど両親にはきっとまだ話せない。 悲しませてしまうどころか、ぶっ倒れてしまうかもしれない。 俺の結婚を心待ちにしている母親の泣き顔が目に浮かぶ。 でも…いつかは理解してもらいたいな…なんて。 それくらい俺は小宮さんのことを真剣に思っている。 俺は…これから先もずっと、小宮さんと生きて行くと決めた。 『ブーケトス行いまーす!!!』 キャーキャー言いながら女性陣が群がる。 その様子を男性陣は周りで囲みながら見届ける。 熱気がすごい… ブーケを受け取ろうと必死な女性陣の顔が恐ろしいぐらいに真剣で、次こそは私が結婚する!!!というようなオーラが漂っている。 『女子怖ぇ…』 裕也が隣でビビりながら笑っている。 『確かに…』 俺も笑いながら答える。 『では、行きまーす!!!せーのっ!!!』 式場の進行係の方の掛け声で新婦が後ろ向きにブーケを投げた。 ブーケは大きな放物線を描いてキャーキャー叫ぶ女性陣の頭上を越える。 『あっ…』 気づけばポスッと落ちてきたブーケは俺の手の中にあって… 『智、おめでとう。』 ニヤリと隣で笑う裕也。 『うわ!!マジ?智おめでとー!!!』 と、隼人が新婦の隣で叫ぶ。 『あ…ありがとう…』 と、言ってはみたものの… さっきまでキャーキャー言ってた女性陣は俺に殺意の目を向けている。 いや、俺悪くないって… 勝手にブーケがこっちに来て… ってそんな言い訳は通用しなさそうだ。 はぁ… 『ブーケお預かりしますね。』 そう言って式場の方がブーケを持って行ってしまった。 それを見てガッカリする女性陣。 本当すみませんね… 心の中で平謝りを繰り返す。 でも正直言うと、女々しいかもしれないけれど…すごく嬉しかった。 なぜだか、小宮さんと結婚できる気がした。

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