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番外編2 入社四年目3月、新婚旅行編。

『うわぁ!!ほんと男の人ばっかり…』 ホテルに荷物を置き、フランスでも有名なゲイタウン、マレ地区にやってきた。 ここはゲイもレズもバイもすべて受け入れてくれるらしい。 日本も早くこんな風になればいいのにな…と思う。 見るカフェ見るカフェ男、男、男。 『山崎…』 『はい?』 『手、繋いじゃう?』 『えぇっ!?』 動揺する俺の手をギュッと握り、歩き出す小宮さん。 もちろんのことながらそれを見て驚く人は誰もいない。 うわ…ここ最高。 日本じゃこんなに堂々と手なんて繋いで歩けないもんな。 色んな店を見て回ったり、カフェでコーヒーを飲んだり、普通にデートを楽しめるなんて幸せだ。 『夜何食べたい?』 着いたのが現地時間の夕方で、すぐ夜になってしまった。 『なんでも。』 『じゃぁあそこ入ってみるか?』 そう言いながら適当に入りご飯を食べる。 すごく美味しくてビックリした。 大好きな人と旅行に来て、美味しい物食べて、しかもこんなに堂々とできるなんて… 俺もう死んじゃってもいいよ…… それぐらい幸せだ。 ホテルに戻りシャワーを浴びる。 時差のせいで若干頭もボーッとするし、なんだか眠い。 『山崎、眠い?』 『ん…眠くないですよ?』 『フワフワしてるし…寝てもいいよ。』 そう言いながらガイドブックを見ようとする小宮さん。 『でも…』 一人は寂しいから一緒に寝て欲しい。 でもそんな恥ずかしいこと言えるわけなくて、でも…なんて言いながら起きていようと椅子に座る。 『大丈夫か?』 コクンと無言で頷くが頭はボーッとしている。 『一緒に寝る?』 『えっ?』 『一緒に寝てほしいって顔に書いてある。』 『うっ…』 バレバレか…恥ずかしい。 俺の手を取りベッドへ向かうと、小宮さんが先に布団に入り、隣をあけてくれた。 『山崎…おいで…』 優しく言われ、小宮さんの隣に滑り込んだ。 『あったかい…』 季節的にもフランスは寒くて、小宮さんの体温が心地良い。 『一緒に寝たかったんなら言えばよかったのに。』 『そんなの恥ずかしくて言えませんよ…』 『そういうとこも可愛い。』 小宮さんにそう言われ、おでこにチュッとキスをされた。 それがすごく気持ちよくて俺はスゥーっと眠りについたのだった。

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