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偶然とは最悪なもので4
あれから直ぐにあの場を立ち去った俺は、待機していた鈴宮さんの車に乗り込んだ。
帰宅路は何があったか覚えていない。
頭の中はあいつのことでいっぱいだった。どうしてあいつがこんなところに。頭が上手く回らない。
それと共に「あの日」の記憶が、まざまざと頭の中に蘇ってくる。
13年前の夏。俺が中学年の時だった。
部活も引退して、宿題だけに追われていた夏休み下旬。その日は「親友だった」雅癸の家で、二人で勉強会をすることになっていた。
雅癸の頭の悪さは壊滅的で、わざわざ先生に頼まれてしまったのだ。
仕方なく教えることになり、雅癸の家で勉強会が開かれた。
勉強会は黙々と行われ、雅癸もちゃんと集中してやれている。雅癸が質問し、俺が応える。この繰り返しで二時間が経っていた。
雅癸もやれば出来るんだな
そんなことを、トイレから戻りながら考えていた。今まではだらけたところしか見てきてなかったため、あんな雅癸を見ることには戸惑いも生まれたが。
「お待たせ…って、寝てるのか?」
部屋の扉を開き、目に映ったのは俺のベッドに横たわっている雅癸の姿だった。声をかけても起きないところをみると、寝ているのかもしれない。
しかし、今日はよく頑張った。いつもなら怒るところだが、許してやるか。
微笑をこぼすとベッドの端に座り、雅癸の髪の毛をするりと撫でてやる。男のくせにサラサラの髪の毛には、少し違和感を覚える。しかし、それにももう慣れているため、そのまま撫で続けた。
その選択がいけなかったのかもしれない。すぐに立ち上がって、雅癸から離れておけば。
ギシッ…
気づいたときには、俺はすでに雅癸の下にいた。押し倒されたと気づくには、さらに時間がかかった。
なんで、俺押し倒されてんの?言葉には出せなかった。
雅癸の舌が首筋から鎖骨、胸へと這われていく。シャツを脱がされて、胸の突起部分を舐められた瞬間、頭が正常に戻る。
「ま、雅癸!止めろ!」
雅癸の頭を押して退かせようとするが、体つきでは明らかに雅癸の方が上。俺の力ではビクともしなかった。
必死に抵抗し、何もできないままで居ると、雅癸の手は俺の尻を揉み始めた。それに恐怖が生まれ、思わず雅癸を蹴りつけてしまった。
ドンッ、という大きな音がして、雅癸がベッドから突き落とされる。そのすきに逃げ出そうと立ち上がるも、呆気なく雅癸に手を掴まれまた押し倒されてしまう。
今度は、俺の腕を上で縛り付け始める雅癸。今度こそ抵抗が出来なくなった。
雅癸の指は、俺の尻の穴の中へと飲み込まれていく。中に入ってくる異物感。恐怖で声も出なくなってしまっていた。
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