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偶然とは最悪なもので5

ギシッギシッ…! 薄暗くなってきた部屋の中に、男二人の影が重なる。ベッドが大きな音を立て、今にも壊れそうなほど揺れている。 「あっ、ふっ、や、ぁっ…!」 「祐大、祐大…!」 雅癸は俺の身体を力強く抱きしめ、律動を繰り返していく。何度も俺の名前を囁く雅癸の声は、俺が知っている雅癸の声では無かった。 男の、声。俺は雅癸の裏まで知らなかった。友達としての雅癸しか…。 「祐大、好きだ。愛してるっ」 「あっ、やっ、ああっ…!」 耳元でそんなことを囁かれてしまえば、俺の自身からは白濁液が吐き出された。そのときに不意にも締め付けてしまった俺の中に、雅癸も沢山の欲望を吐き出した。 「祐大、好きだ…」 ぼーっとして頭の回らない俺に、雅癸は汗を滴らせながら告げる。その色っぽさの中に、欲望が蠢く。 なんで、もっと早くに気づかなかったんだろう。雅癸からしたら、俺は親友ではなかった。ずっと、こうなる日を望んでいたんだ。 そう気づいたとたん、後悔と怒り、悲しみがふつふつと心の底から沸き上がってきた。 「な、んで、だよっ…。俺は、最後まで親友で居たかったっ」 無様にも涙をボロボロと流しながら、目元を抑え言葉を発する。泣いたのなんて、何時ぶりだろう。こんな涙になるなんて。 雅癸は泣きじゃくる俺を見て、申しわけなさそうに眉を下げた。 「俺は一年くらい前から、ずっとお前のことが好きだった。お前を見る度に凄く胸が苦しくなって…。最近にはお前で抜いたりもするようになった。こんな事するつもりは無かったけど、お前が…」 「うるさい!これ以上言うな!」 雅癸の言葉を途中で遮り、押しのけ立ち上がる。素早く服を着ると、ベッドから立ち上がり、扉へと足を進めた。 部屋を出る際、一度振り返りはっきりと言葉にした。 「お前なんか、親友でも友達でもない!」 帰り道、通行人の視線など気にせず涙を堪えながら家まで一目散に走る。途中でノートを忘れたことに気づいたが、それどころではない。 家につくと親の言葉なんか無視して、風呂場に向かう。シャワーを浴びて、身体の隅々まで傷が付きそうなほど擦った。何度も、何度も。 泡と一緒に、身体と心の汚れまで落ちてくれればいいのに。ずっと願ったけど、一度付いた汚れは、二度と落ちることはない。それに気づくと、また涙がこぼれ落ちた。 洗っている最中に、中から白いドロリとした液体がこぼれると雅癸がまだ中に残っていたと気づき、気色悪くなった。指を二本中に突っ込み液体が全て無くなるまでかきだす。 「うっ、ふっ、うー」 ボロボロと涙を流しながら、中にある雅癸の記憶を全て無くなるまでかき出した。 頭に残る雅癸の記憶は、一向に消えることは無かったけれど____

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