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親知らず 13

しばらくして日程が調整でき、夕方の時間帯に小児科医を訪れた。 広瀬がそこにいた時間は1時間弱だった。その間東城は駅前のさびれた喫茶店で待っていた。 コーヒーを飲みながら、喫茶店においてある古いマンガを手に取って読んだ。店内は静かで、店の主人は夜のために下ごしらえをしている。 外は寒く、風が冷たい。窓から見る空は曇っており、色彩を欠いていた。 何度か、窓に目を移してみたら、広瀬がコートのボタンをしっかりとめて寒そうにしながら戻ってくるのが見えた。 コート買ってやろう、と東城は思った。あんなに寒そうにしているのを見るのは切ない。軽い生地の暖かいコートを新調してやろう。彼に似合いそうな色目のことを考える。コート以外にも暖かく彼を包み込む衣類を何点か。そういえばもうじき広瀬は誕生日のはずだ。 広瀬は、喫茶店の入り口で、東城に店を出るよううながしてきた。 帰りの車の中で広瀬は診療所で聞いた話を東城にした。

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