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続 親知らず 6

「でも高校2年のだらしない俺が考えることっていったら、付き合ってた女の家にころがりこむくらいだったけど」 当時付き合っていた何人かのうちの1人が水商売をしている世話好きなだいぶ年上の女性で、若い東城が家にいるのを歓迎した。遊び金を女からもらって、数日は好きにしていた。だが、一週間もすると、そんな生活にもあき、働くことにした。 「体力には自信があったから、工事とか、作業とか、その手のアルバイトを探して雇ってもらって、女の家からかよってたんだ。ベテランの人に怒られることも多かったけど、基本、気にしないし、そこそこ金ももらえて、このままいけば、彼女になんかかってやれるくらいにはなるな、って思ってた」 一ヶ月くらいそんな生活をしていたある日、仕事が終わって、彼女の家に帰ろうと歩いていたら、黒塗りの大きな車が前をふさいだ。 「そのときは、来たな、っておもったくらいだった。母親が連れ戻しにでもきたのだろうって。一ヶ月もたってたから遅いくらいだ、なんて。でも、帰る気はなかったから。強がってて」 東城は、無視して脇を通り抜けようとしたが、その前に、車の後部座席のドアがあき、祖父がでてきたのだ。 「まさか、市村の祖父がでてくるとは思わなくって、びっくりした」東城は、祭壇の写真をあごで示す。「実物はあんな笑顔じゃないんだ。いつもはヤクザも顔負けの強面で。家族にも部下にも恐ろしい人だった」 それまでも、祖父との交流はほとんどなかった。 祖母の家に遊びにいってもいることはまずなかった。接触といえば、何かの集まりにいる祖父に挨拶をする程度だった。それも年数回程度。祖父と孫、というような付き合いをした思い出はない。 「幼稚園のころ、一回だけ運動会を見に来たっていう写真はみせられたことはあったけど、俺は覚えてないし」 祖父は、小柄なほうで、東城よりふた周りくらい小さく、年齢もかなりいっていたが、全然かなわないくらい迫力があった。 「乗りなさい」と静かにいわれ、東城は、したがった。

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