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続 親知らず 9
かなり時間がたった後で、東城は時計をみた。「あ、お前、帰ったほうがいいな」みると深夜になっている。「こんな遅くまでつきあわせてごめんな」と言った。
立ち上がり「車、手配するから」と言う。
広瀬は座ったままで「自分でタクシーを呼びます」と言い、スマホを取り出す。
そこに、入り口から女性の声がした。静かな中にずっといたため、この会場にほかに人がいることをすっかり忘れていた。急なことではっとなりそちらをみた。
「弘ちゃん、そこにいるの?明日の段取りを確認したいのだけれど」と言う。
着物の喪服姿の女性が2人、東城の方に近づいてきた。二人とも小柄だが、しゃんとし、歩き方も口調もてきぱきしている。声をかけてきた女性は東城の母親だろう。もう一人の高齢な女性は祖母だろうか。
二人は東城の横に座っていた広瀬を見た。彼女たちはそこに広瀬がいると思わなかったようだ。少し驚き、とまどっていた。
広瀬は慌てて立ち上がり頭を下げた。
東城の母親はすぐに気を取り直し、静かに微笑して会釈を返してくる。
祖母の方は、東城に目をむけた。広瀬が誰なのかを問うている。広瀬も横目で東城を見た。適当にごまかしてこの場を立ち去ろうと思った。
だが、東城は落ち着いたもので、広瀬の横に立った。
「母と、市村の祖母」と広瀬に二人の女性をしめした。
紹介された祖母は、高齢であったが、長年一族に君臨してきた女性らしく、厳しさと優しさが入り混じった毅然とした雰囲気だった。
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