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月曜日。一限目しか講義を入れていなかった今日は休講になり、何もすることがなくて、大好きすぎる絃さんのことをずっと考えている俺は、うんうん、唸りながらベッドの上で寝そべっていると、手元にあったスマートフォンが震えた。
着信画面を見れば、絃さんの名前があった。
もしかして、もうお別れされるのかな。
怖いけど、出なければ余計に嫌われてしまうかも。
ヘタレな俺は通話ボタンを押した。
「もしもし?」
震える声で電話に出ると、ハスキーな彼女の声が耳孔に入る。
「流星? 今から会える? 少し、話したいことがあるんだ」
――ああ、やっぱりもうお別れなんだ。
俺は目を閉ざし、絶望を感じながら、ゆっくりと頷いた。
胸がズキズキ痛む。
「……わかりました。すぐに用意します。待ち合わせ場所はいつもの喫茶店で良いですか?」
絃さんの呼び出しに応じた俺は、電話を切り、喫茶店に向かった。
絶望という感情を噛みしめて――。
「ごめんね、行こうか」
言われるままに、導かれるままに向かった先は、なんと、絃さんの家。
絃さんはやっぱりすごい人なんだ。家は一軒家で大きな庭がある。しかも寝室と仕事部屋が別にあって、あと二、三部屋の空き部屋がまである。
あれ? ちょっと待って? 家に呼ばれたってことは、もしかしてお別れじゃない?
彼女はまだ、俺とお付き合いをしてくれようとしている?
うっすらと期待をしながら、居間に通され、絃さんを待つこと三分くらい。
襖を開けて、隣の部屋からやって来たのは――男物の服を着た、絃さんだった。
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