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◇
「いとさん、俺、おれっ!!」
どうしよう、吐精したいかも……。
「イきたいんだろう? いいよ」
絃さんは簡単に言ってのける。
だけどさ、俺は嫌だ。
「やっ、だって俺、絃さんと一緒が良いっ!」
本音を告げれば、細い目が大きく見開いた。
その後、フッて目元が緩む。
すっごい優しい笑顔だった。
「可愛いことを言うな。一緒にっていうのがどういう意味なのかわかっているのか?」
だけどそれもほんの一瞬だ。瞳孔は開ききって、瞳は光を宿している。訊ねる絃さんの顔は、肉食獣のような雄の顔に変化していた。
「……たぶん。でも怖くない」
今の絃さんを見ても、怖くない。
だからきっと、そういうことだよね。
「怖くなったら言え、すぐに止める」
怖くなっても止めてほしくない。
だけど言っても判ってくれそうにないから、俺はただコクンと頷いた。
俺は両足を大きく開き、絃さんを受け入れる準備をする。
そうすると、俺の先走りを纏った絃さんの骨張った長い指を、排泄をするばかりの後ろの孔へ挿し込んだ。
俺の中で、絃さんの指が動く。
「んっ」
異物感が半端ない。
痛いなんてそんなものじゃなくて、鋭い切っ先で身を引き裂かれるみたいだ。
指だけでも痛いのに、こんなんじゃ、絃さんなんて挿入 ってこられるわけがない。
それでも、指が中で解されれば、少しずつ柔らかくなっていくのが自分でもわかる。
初めよりはまだマシだったけど、やっぱり痛いものは痛い。必死に唇を噛みしめ、痛みを口に出さないようにする。
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