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◇
「全部挿入ったよ、流星」
「ん……」
俺の勃ち上がった一物の下にあるのは、尻の孔を貫く、俺の一物と同じ形をした絃さんの雄だ。
頬を伝う涙は、いったい何の涙だろう。
絃さんに抱かれた嬉しいっていう気持ちとか、同性に抱かれたっていう衝撃。それに痛み。
もうごちゃ混ぜになって、何が何だかわからない。
ぽたりと俺の目尻から涙が零れた。
「流星……」
絃さんが俺の名を呼ぶ。
どうしよう。抱かれたのが嫌だったと勘違いされたかもしれない。
そうじゃない。
そうじゃないのに……涙が止まらない。
俺は首を振ってなんとか絃さんに違うと伝える。
そうしたら……。
薄い唇が、溢れ出た涙を吸い上げた。
「……っつ」
――ああ、俺。どうしよう。
絃さん、俺。やっぱり貴方が好きだ。
背中から後頭部に腕を回し、口づけを強請った。
深くなる口づけと、絡み合う舌。俺の口の端に伝うのは、いったいどっちの唾液だろう。
「……っふ」
絃さんの熱い楔に貫かれた痛みはもうない。
中が蕩けてしまいそうだ。
……俺、消えてなくなってもいいや。
俺は絃さんに身を委ねる。だけど吐精してしまうのがもったいなくて、長い時間、互いに貪りあった。
**END**
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