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第4話 女装してもしなくても愛の蜜月逃避行。

 side:流星 「おっ、いい女発見」  今日の専攻していた科目は終了。  同じ講義を受講している友人と帰宅途中で、それは起こった。  大学の門をくぐった丁度その時、隣を歩く連れが突然明るい声を上げたんだ。  ……いい女?  友人の声を合図にふと顔を上げれば、門の前に見知った女性の影がひとつ。  腰まである漆黒の艶やかな髪に、桃色のワンピースを身に纏ったフェミニンなその女性。  雪見 絃(ゆきみ いと)さんがいたんだ。 「って、絃さん?」 「流星くん、暇だから来ちゃった」  まさか俺の大学に来てくれるとは思っていなくて慌てて走り寄れば、絃さんはにっこり微笑む。  その柔らかな微笑みはとても綺麗で……。  俺の心臓が大きく鼓動した。 「なに? お前の女? マジかよ……」  もう一人の連れがあんぐりと口を開けて、俺と絃さんを交互に見る。 「…………」  悪かったな。どうせ俺と絃さんじゃ不釣り合いだよ。  絃さんは大人で、綺麗で、背も高くて、すらりとしていて……。  でも俺ってば、まあ、背は高いけどどっちかというと目はどんぐりみたいに大きいし、格好いいとはほど遠い。  絃さんと俺。  お世辞でも似合いのカップルだとは見えないだろうことも知ってる。  そんなこと、今さらだ。  だけど……。  だけどさあ、改めて俺と同学年の奴に見比べられると、ショックだ。  ショックのあまり項垂れていると、隣では連れが口を開いた。 「ねぇ、オネエさん、流星なんか止めてさあ、俺とどう?」 「っな!!」

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