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 はあっ? コイツ、なに口説いてんの? 俺と絃さん付き合っているんだぞ?  口説いた連れを睨めば、そいつはニコニコ笑顔で絃さんを見つめている。  ……本気だ。  冗談だろ?  そりゃ、絃さんは今は女性の格好をしているけれど中身は俺と同じ男だ。  連れが絃さんの正体を知ったら、きっと諦める。  だけど、万が一そうじゃなかったら?  男の絃さんの魅力にも気づいたら?  絃さんが俺じゃなくて、こいつを抱いたら?    イヤだ! 絃さんは俺のものだ。誰にも渡したくないっ!!  俺は俯けた顔を上げると、すぐに絃さんの腕を引っ掴んだ。  そのまま大股で早歩きをして大学の門から離れた。  どこか二人きりになれる場所。  誰の目にもつかなくて、絃さんを独り占めできる場所。  俺は足早に移動しながら周囲を見渡す。  その間にも、絃さんはとても綺麗だから男女問わず、みんなが釘付け状態だ。  行き交う人々の好奇な視線が絃さんに注目しているのがわかる。  イヤだ。絃さんは誰にも渡さない。  絃さんの秘密を知ってるのも俺だけでいい。 「ちょっ、流星?」  足早に移動する俺の少し後ろで、絃さんが声を掛けてくる。  でも今は絃さんと話をする余裕が俺にはない。  ああ、俺ってほんと子供だ。  絃さんはいつか俺を捨てるだろうか。  そうして誰か、俺よりもずっと格好良くて凛々しい大人な男性を見つけて恋愛をするんだろうか。  そんなのイヤだ!!  俺は無言のまま、やっと見つけた裏路地の小さなラブホテルに絃さんを引っ張り込んだ。

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