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第5話 自己嫌悪。

 side:絃  ……またやってしまった。  遮光カーテンの隙間から覗く夕日の筋が俺を照らす。  俺はラブホテルの一室で一人孤独に頭を抱えていた。  そもそも、俺が今日、流星の大学に行った目的はラブホテルに行くためではなかったし、況してや流星を抱くつもりでもなかったんだ。  俺の目的は――。  連載していた小説もどうにか片を付けたし、担当からは文句なくしばらくの間自由になった俺は、文化祭の関係で流星の大学が明日から三日間休日だと聞いて、どこか一緒に旅行でも行こうかと誘うつもりだったのに、なぜこうなってしまったのか。  流星が何を思ったのか突然俺をラブホテルなんかに引っ張り込むから悪い。  だが……俺は流星よりもずっと大人なんだから節操がないような真似をするべきではないだろう。  自分に呆れてしまう。  頭を抱えている俺の隣からは気持ち好さそうな寝息が聞こえてくる。  流星は何度も俺にイかされて疲れたんだろう。深い眠りに入っている。  安心しきったその表情に、どうにも落ち着かない。  よく見れば、流星の瞼は腫れぼったい。散々泣いた証拠だ。  俺は流星に世間から後ろめたいことをさせている。  男根を後ろで咥えることを覚えさせられ、快楽を知ってしまった。  一糸も纏わないその身体には俺が付けたキスマークが散っている。  俺に抱かれるようになってから、艶っぽくなったと思う。  普段は年頃の青年なのに、ふとした瞬間に見せる憂いの表情は人を惹きつけるものがある。

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