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第6話 恋乞うて。

 side:流星  頭上には雲ひとつない青空が広がっている。  うんと背伸びして深呼吸すると、今朝方まで降り続いていた甘い雨の匂いが草木に混じって香ってくる。  気持ちがいい。  今日は久しぶりに絃さんから花鳥園に誘われた。  花鳥園とか初めてでドキドキするけど、そのドキドキは初めての場所だからっていう理由ばっかりじゃない。  だって好きな人とデートなんだ。そりゃドキドキするし浮かれるよな。  絃さんとは花鳥園のゲート前で待ち合わせ。  呼吸さえもままならないくらい、俺の心臓はすごくドキドキしてる。 「悪い、待たせた」  絃さんの声がして顔を上げると、女装していない絃さんがいた。  絃さんは今日もすごく格好いい。  白の長袖Tシャツにグレーのベスト。それから黒のスラックス。シックな色で纏まった配色は落ち着いていて、大人の男性っていう感じだ。モノトーンな色遣いだから長い足がいつもよりずっと長く見える。まるでモデルさんみたいだ。  だけど、ねぇ、絃さんの隣にいる女性は誰?  俺は絃さんの隣にいる女の人が気になった。  彼女は女装した時の絃さんに似ている。  腰まである漆黒の髪に白をベースにした花柄のワンピース。切れ長の目とふっくらとした赤い唇。細身で色白。  俺よりも年上かな、大人の女性っていう感じ。  だけど、これってどういうこと?  絃さんは何を思って花鳥園にこの女性を連れて来たんだろう。  半ば混乱気味の俺は女性と絃さんとを交互に見ていると、ややあって絃さんは口を開いた。 

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