45 / 59
◇
――――。
――――――。
「ごめんなさい、ごめんなさい!! 痛かったよね、苦しかったよねっ!!」
流星は今、土下座をして謝っている。
俺は、というと、煙草片手に一服だ。
もちろん、俺は別段気にしていない。
流星だって好きな相手なら抱きたいと思うだろうし、だから俺も承知で抱かれたわけだし?
「何とも思っていない。気にするな」
項垂れている流星の頭を撫でてやれば――。
「いとさああああんっ!!」
例の如く、大きな目から涙が滝のように流れ落ちる。
俺の腰に両腕を巻きつけ、まるで幼子のように泣きじゃくる。
どうやらいつもの流星に戻ったようだ。
流星の態度が一変したのはどうやら嫉妬していたらしい。
あんなに俺が流星を抱いているのに、ほんの少し触れられただけで嫉妬って。
そこまで愛されているのだと思えば悪い気もしない。
その日、泣き腫らした目で講義に挑んだ流星は、もちろん皆に泣いた理由を問い詰められ、勉強どころではなかったのは言うまでもない。
**END**
ともだちにシェアしよう!