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 かく言う俺も、絃さん本人からカミングアウトされるまで全然気づかなかった。 「服装、なんかヘン?」  あまりにも無言でただ絃さんを見つめていたから、絃さんは不安になったんだと思う。  首を傾げて訊いてくる。  あああ、その姿もすごく男心をくすぐるっていうか、もう完璧すぎる!! 「そ、そんなことないっ! すっごく綺麗です!!」  またもや見惚れていた俺は、慌てて我に返った。ブンブンと首を振れば――。 「ありがとう」  クスリと笑った絃さんの唇がほんの少し、俺の唇に触れた。  ドッキンッ! 「っつ、いとさっ!!」  啄むようなちょっとしたキスでさえも、俺の心臓は大きく飛び跳ねる。  ……どうしよう。今日一日、俺の心臓は持つのかな。 「さ、10時過ぎたし、そろそろ中に入ろう」  俺の心臓はドキドキが止まらない。  もたついていると、絃さんの手が俺の手を掴んだ。 「うわわっ!!」  絃さんの手から体温が伝わってくる。  それにそれに、俺の手、緊張してるからものすっごく汗ばんでいるし!!  突然手を繋がれて声を上げると、絃さんが首を傾げた。 「?」 「えと……あの、汗ばんでいるからっ!」  汗っかきだって思われたくないよ、恥ずかしい!! 「構わないよ、流星と手を繋ぎたいから」 「……っつ!!」  俺は気にしますっ!  そうは思っても口にできないのは、俺も絃さんと手を繋ぎたいから……。  絃さん、やっぱり指長いな。  それに細い。  いや、女性らしい細さはないけど、指先まですごく綺麗だ。

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