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◇
……ああ、この手を引き寄せて、もっと絃さんの体温を感じたい。
もっとずっと深いキスをしたい。
おかしな願望が脳内でムクムクと大きく膨らんでいく。
……そういえば、この前。
俺、絃さんを抱いたんだっけ……。
抱かれるのも相手が絃さんだから嬉しいし、俺で気持ち悦くなってくれるのも幸せだ。
でも絃さんの中、気持ち悦かったな……。
それに絃さんの声、すごく色っぽかったし……。
って! 今は真っ昼間だ。何やらしいこと考えてるかなっ!
おかげでちょっと勃っちゃったし!
俺、サカりすぎっ!!
発情期の動物じゃないんだからさあ。
このままじゃ節操のない奴だって絃さんに幻滅されちゃうっ!
「絃さんっ!!」
声を張り上げて絃さんを呼ぶと、絃さんは目を見開いている。
急に大きい声を出されてびっくりしたって顔だ。
でも今の俺にはそんなことを気にしている余裕はない。
とにかく! このエッチな脳内をリセットしなきゃ!!
「あれ乗ろう!」
俺が指したのはここの人気。ジェットコースター。
レールが見えないくらいの急な斜面はまさに絶叫ものらしく、どこかの番組で紹介されていた。
うん。あのジェットコースターなら間違いなく、俺の脳内からエッチな思考を吹き飛ばせるに違いない。
「あ、でも絃さんは絶叫系平気?」
「ああ、俺は別に構わないが――」
「じゃあ、あれに乗りましょう!!」
絃さんの手を引っ張って、俺は意気揚々とジェットコースターへと向かった。
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