48 / 59

 ……ああ、この手を引き寄せて、もっと絃さんの体温を感じたい。  もっとずっと深いキスをしたい。  おかしな願望が脳内でムクムクと大きく膨らんでいく。  ……そういえば、この前。  俺、絃さんを抱いたんだっけ……。  抱かれるのも相手が絃さんだから嬉しいし、俺で気持ち悦くなってくれるのも幸せだ。  でも絃さんの中、気持ち悦かったな……。  それに絃さんの声、すごく色っぽかったし……。  って! 今は真っ昼間だ。何やらしいこと考えてるかなっ!  おかげでちょっと勃っちゃったし!  俺、サカりすぎっ!!  発情期の動物じゃないんだからさあ。  このままじゃ節操のない奴だって絃さんに幻滅されちゃうっ! 「絃さんっ!!」  声を張り上げて絃さんを呼ぶと、絃さんは目を見開いている。  急に大きい声を出されてびっくりしたって顔だ。  でも今の俺にはそんなことを気にしている余裕はない。  とにかく! このエッチな脳内をリセットしなきゃ!! 「あれ乗ろう!」  俺が指したのはここの人気。ジェットコースター。  レールが見えないくらいの急な斜面はまさに絶叫ものらしく、どこかの番組で紹介されていた。  うん。あのジェットコースターなら間違いなく、俺の脳内からエッチな思考を吹き飛ばせるに違いない。 「あ、でも絃さんは絶叫系平気?」 「ああ、俺は別に構わないが――」 「じゃあ、あれに乗りましょう!!」  絃さんの手を引っ張って、俺は意気揚々とジェットコースターへと向かった。

ともだちにシェアしよう!