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「…………っつ!」  やっぱり、ダメだよね。  せっかく、こんなにも綺麗なパレードをやっているんだ。  絃さんにしたら、もっとこの光景を楽しみたいよね。  俺ってほんと、ガキだなって思う。  大人で落ち着いている絃さんに対して俺って本当ダメダメだなって。  絃さんはこんな奴のどこがいいのか、自分でもさっぱり判らない。 「…………」  恐る恐る訊ねたら、絃さんからの返事はない。  気を悪くしたかな。  うんざりされたかな。  性欲の塊だってげんなりされたかも。  すっかり打ちのめされた俺は俯いて、絃さんのお尻を撫でるその手を外した。  大人な絃さんはいつも完璧で、冷静だけど優しくて。  対する俺はまるでガキ。  涙、出そう。  俺と絃さんがあまりにも不釣り合いだから、情けなくって涙腺が弛む。  みるみるうちに視界が歪んでいく……。 「いいよ、ずっとそんな状態だったんだろう?」 「っつ!」  自分があまりにも情けなくて、やるせなくて……俯いたままでいると、絃さんは静かにそう言った。  ああ、やっぱりバレバレだったみたい。 「いい……の?」  自分から『エッチしたい』って誘っておいてどうかと思うけれど、このパレードってたしか、1年に1回くらいでしか行われない貴重なイベントじゃなかったっけ。  顔を上げて訊いてみたら、絃さんは紅を引いたその唇を緩めて微笑んだんだ。  ……なんて。  なんて綺麗なんだろう。  イルミネーションよりもずっとずっと絃さんの方が綺麗だ。  こんなガキで幼稚な俺も絃さんは受け入れてくれる。呆れられない。  それが嬉しくて、溜まっていた涙が一滴、零れた。

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