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報復の終章 5
「なんだ、情けねえのな? もうお手上げかよ? お楽しみはこれからなのにさ?」
え、キレイな社長さんよ――?
ペチペチと頬を軽く叩きながら、今度は少しのやさしさを装って頬を撫で、深く濃厚なキスを施してやる。
しつこいくらいに口中を掻き回し、舌を食いちぎる程に吸って舐めて貪った。
「んっ……ふっ……んんっ……」
既に声にもならないのか、ボロボロと涙をこぼしながら嗚咽を繰り返すだけだ。
「何だよ、もう声も出ねえってか? つまんねえな。もっと何か言えば? さっきみてえに『やめて』とか『嫌』とかさ、可愛い声で叫んでみろよ? そうすりゃもっとソソられんのに」
クククッと、我ながら気色悪いくらいの笑みが漏れ出しては、自分のものではないような鬼畜な感情が、胸の奥底でウズウズと俺を蝕んでいくのが分かった。
◇ ◇ ◇
そうさ、この顔が見たかったんだ。
穢されて辱められて涙に汚れるこの顔が――!
いつも高みから見下ろされ、男としてのプライドもズタズタにされてきた俺らの気持ちなんて、あんたには解らないだろう?
だから教えてやるよ。
俺があんたに味わわせてもらった分を、そっくりそのまま返してやる。
ゆっくりと脚を持ち上げ、肩に抱きかかえて、俺は自分自身のベルトを解いた。
ガチャガチャとわざと音を立てて、ジッパーもこれ見よがしに引き摺り下ろして、半勃ちになった分身をヤツの頬に擦り付けて――
顎を押さえ、歯列を押し広げて、猛ったソレを突っ込んだ。
「歯、立てんじゃねえよ?」
低い声で脅すように言ってやれば、涙に濡れた瞳が驚愕に揺らぐのが見てとれた。
「舐めろよ帝斗――」
冷淡に浴びせた台詞に、もう返す言葉も見つからないのか、瞬きも儘ならない瞳は何処を見ているのかさえも分からない程、おびえてすくんでいた。
「俺をその気にさせて、ちゃんと濡らしてくんないっていうとさ? 困るのはアンタだぜ? 痛い思いすんのヤだったらちゃんとしてよ」
最後の言葉――
俺は大きく息を吸い込んだ後、散々弄ばれた憎い男を突き崩す最後の言葉をゆっくりと浴びせかけた。
それを聞いた帝斗の顔が、驚愕に歪もうと蒼白に怯えようと、もうどうでもいい。
今、この瞬間にあんたがどんな顔をしているかなんて、俺には見なくても分かるから――
俺はしばし乱暴に口中でピストンを繰り返した後、怒張した分身を引き抜いて、怯える彼の瞳を見つめて薄く笑ってやった。
白濁に汚され塗れて歪むその顔を見た時に、俺はいったいどんな感情を抱くのだろう。
長い間、自身の中でくすぶらせてきた思いを解放した瞬間に、自らもまた解き放たれるとは思っていないけれど。
それでも俺はこうせずにはいられなかった。例えそれがこの男と同じ類に成り下がる、自らを貶める醜い行為であったにせよ――
- FIN -
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