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target3-7.治療

「あ!颯都さんっ、お帰りなさ……」 夕方、手を血塗れにして帰って来た颯都に、玄関に走ってきて出迎えた雪斗が悲鳴を上げた。 「ど、どどどうしたんですか!?その手…っ!」 「先ず落ち着け」 「颯都さんが落ち着きすぎなんですよー!!」 玄関先で言い合いながら、雪斗は自分の怪我に無頓着な颯都に嘆息した。 「じゃあ、手当てしますから僕の部屋に…」 「いい。舐めれば直ぐ治る」 「ダメです!ちゃんと治療しなきゃ」 雪斗は怪我していない方の手を引き、平気だと一点張りする颯都を自室のベッドの縁に座らせると救急箱を隣に置くと、颯都の前にしゃがみ込む。 「…雪斗、」 まるで跪くような姿勢を咎めて颯都が呼び掛ける。 「この方が治療しやすいでしょう」 颯都の手を取り、手のひらの傷を診る。 吸血鬼の唾には高い治癒力がある。 傷の範囲は広かったものの、多少血が流れている位で済んだのだ。 白い布に消毒用アルコールを染み込ませ、傷口をそっと撫でる。 「痛みますか?」 「いや…」 多少傷に染みるが、言うほどではなかった。 白いガーゼを患部に当て、テーピングする雪斗の表情は不安げだった。 「…誰に、やられたんですか?」 「避けるのが面倒だったからそのまま掴んだだけだ」 「避けてくださいよ!…颯都さんが血を出しっぱなしにしてると、危ないんですから…」 テーピングを終え颯都をジッと見る。 視線で説明を求めているのが解ったが、雪斗に言う気はなかった。 「もう済んだ事だ。言っても仕方ねぇだろ」 「…何でですか」 「…お前が気にする事じゃない」 「気にします!僕だって…!」 雪斗が颯都を押し倒し、ごく近い距離で視線が合う。 初めて優位に立つ体制になり、颯都を見下ろす形になる。 言いたかった事は全て吹き飛び、雪斗の中に何かが湧き上がるのを感じる。 「雪…、」 唇が動いて、颯都の声が名前を呼ぶ。 それだけの動作が艶っぽくて、雪斗は無性に喉の渇きを覚えて、急激に欲しくなった。 颯都の中に流れる、赤い血が。 「…っあ!」 白い首筋に牙が突き立てられ、抵抗しようとしていた力が奪われる。 血を飲まれる音と感覚に、颯都の頬に熱が差す。 「んっ……はぁ…!」 颯都の口から抑え気味に漏れる声が、雪斗の聴覚を刺激する。 渇いた喉が、潤っていく。 雪斗は喉を鳴らして甘美な血を飲み下す。 ここの所のブラッドだけでは足りなかった何かが、満たされていくようだった。 夢中で血を啜り、満足した頃に牙を抜いた。 殴られるのも覚悟の上の行為だったが、雪斗が見下ろした颯都は全く別の表情だった。 浅く呼吸を繰り返し、いつもは研ぎ澄まされている眼がトロンとして雪斗を見ていた。 眼が合うと引き込まれてしまうような色気を感じてしまう。 「颯都さんって…血を飲まれるだけでそんな表情になっちゃうんですか」 「別に…いつも通り、だろ…」 「いえ…」 雪斗はふっと微笑むと颯都の耳許で、すっごく誘うような顔してます、と艶めいた声で囁く。 颯都はピクリと反応し、雪斗を押しのけようとするが意外な力で押し返される。 雪斗の手が颯都のワイシャツをなぞり、下半身の膨らみに触れた。 「このままじゃ、辛いでしょう…?」 血を吸われ、勝手に快感を覚えるようになった颯都の身体は反応を見せていた。 羞恥でカッと血が上る。 「ふざけんな、離せ…!」 「ふざけてなんかいませんよ」 暴れようとした手を雪斗の手でベッドに縫い付けられ、真剣な声に戸惑う。 雪斗の見た事のない表情に。 「俺…、もっと見たいんです。 颯都さんの乱れる姿を」 「止め、ろ…ッ!」 颯都が先程の余韻で力が入らないのをいい事に、雪斗は片手でベルトを外しズボンと一緒に下着を下げた。 緩く起ち上がったそれを雪斗は手で包み込んで上下に動かす。 「んッ…ゆ、き…!」 颯都は声を抑えて雪斗を睨む。 「…そんな顔で睨んでも、エロいだけだって…」 雪斗は頬が熱くなるのを感じながら微かに呟いた。 次第に先走りで濡れていき、雪斗が弄る度に水音が響いて颯都の羞恥心を掻き立てる。 初めて見る余裕のない颯都の様子に、雪斗も自身の余裕が削がれていくのを感じていた。 颯都の血に酔いしれてしまった時から、理性など無くなってしまったのかも知れない。 颯都も雪斗の手で確実に限界へと追いつめられていく。 他人の手で追い立てられる焦燥感と屈辱感。 「はっ…雪、斗…もう…ッ」 「イきたいですか…?じゃあ……」 制止を訴えたつもりが、催促と解釈されてしまったらしく速度を早められる。 「違っ…く……あっ!」 感覚に置いて行かれ思考が着いて行かないまま、堪えられずに達した。 白濁が颯都のワイシャツや雪斗の手、白いシーツを汚す。 頬を紅潮させたまま荒く呼吸をする颯都の手前で、雪斗は手に付いたそれを舐めとって見せた。 「なっ…汚いだろ!」 「汚くないです。颯都さんのですから」 止めるつもりで言った颯都の言葉をすぐに否定すると指に付いたものを綺麗に舐め取る。 颯都はあまりの気恥ずかしさが高まり眼を逸らす。 「あ、颯都さん」 「……何だよ」 先程から雪斗にペースを乱されっ放しの颯都が不服そうに返事をする。 「どうして、さっきから眼が赤くなってるんですか?」 軽く、世間話をされるトーンで言われて颯都の思考がフリーズした。 (…何時から) (イきそうになってる辺りから) (……ッ!)

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