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第190話
俺が身を震わせプンスカしていれば、話聞いたし、先に帰るは。ツッキーは椅子を雑に戻し
じゃあなと立ち去ろうとする。
この怒りはどこにぶつければいいんだ!丸眼鏡事件はまだ解決してない!!
ハンケチ―フがあったら口に咥えてギリィとしている程の怒り!
「つっ」
「あ、そうだ。玲音ちょっと来い」
呼ぶ前に手招きされ、え、なに?と驚いて怒りはどっかに落っこちたし、なになに?近づけばグッと腕を引っ張ってきて教室の外まで連れ出される。
直後教室の誰かに目配せしていた気がして振り返るけど、誰もこっちを見ている様子はなかった。
え、本当になに?どうしたの?俺またなにかやらかした?前みたいな壁ズドンはもう嫌だからね?そうなったらもう雅さんに言いつけるからね!いい!?わかった!?
身構えているとツッキーは訳わかんないこと言いだした。
「嵩音はお前に任せたから」
「んあ?え、なんでっ」
「なんでも何も、嵩音に抱えられて帰っ」
「うおわぁっ!?」
「むぐっ!?」
何を言うかと思えば、本当に何を言っているんだ!
こんな誰がいつ通るか分からない廊下でサラッと目を付けられそうなまたあんなことが起こりそうななんてことを。
咄嗟に両手で口を塞いだけどいとも簡単に剥ぎ取られてしまう。
「俺が言ってもあいつは何も言わないだろうから、聞いといてくれないか?でもって、解決まで出来れば完璧」
「完璧ってなに!?」
「完璧は完璧だろ。それともなにか?ご褒美が欲しいって?」
ご褒美でなく、なんで俺がそんなことしないといけないのかって話で。さっき風紀の顧問がどうとか言ってたしそのままツッキーがまるっとするっと全て一気に解決するのが早いのでは?
見上げて口を開けばなんでか腰を抱かれ、え、なにこのデジャヴ……
「しょうがねぇから前金な」
「は……え?」
ふぁっ、綿が触れるみたいに優しく口が合わさり下唇を巻き込んで離れ、あまりに急な事態に動けずにいればもう一度口が合わさり今度はかぶっと口を全部噛まれる。
え、なんで俺、ツッキーとキッスーしてんの??
どういうことなの?
どういう……
「ゃ、めてくださっ!」
「おっ?あれ?前はあんなに可愛い声で甘えて来たのに、どうした?」
「かわっあままま甘えてませんし前金もいりません!」
「へー、ふーん。キスももうあいつじゃないと嫌だって?」
「ちがっ、何言ってっ」
お尻を鷲掴まれ腰が寄り、驚いてビクッと体が跳ねる。でもお構いなしに腕は回されたまま、今度は耳に顔を寄せてきて相当甘やかしてもらってんだな。安心した。
たらたらとツッキーこそ蜂蜜みたいに耳に残る甘い声で囁きだすからまたビクッと体が跳ねた。
安心したって、どういうこと……?
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