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第189話

それで、辛気臭いのがなんだって? ツッキーの言葉で漸くこの喋くる場が開催された理由を思い出した。 明日から夏休みだと言うのに生徒会は依然として、梅雨のようにジメジメとカビやらキノコやら今にも生えそうな重い雰囲気。それに耐えかねた大翔の愚痴をみんなで聞いてやろうと今回は開催されたんだった。 曰く、ふわふわキャッキャ先輩こと鶴来亜睦先輩は先月から急に元気がなくなった。副会長は兄弟のことは言わなくなったにしても、まだ前のように戻っていない。会長の潤冬さんに至ってはジメジメと言うよりずっと大人しくていつか爆発しそうでおっかない。らしい。 「話聞いて解決できればええねん。せやけど、話までいかへん。亜睦ちゃん先輩はいつもと一緒やゆうし、副会長さんと会長さんは話すことないゆうて、そもそも会話にならん」 主力の2人と元気の源であろう鶴来先輩を心配したくても当の本人たちからの声がなけれ何も出来ない。どうしようもない壊滅的な話にアァ――…と海外ドラマに良く入る悲しい声が頭の中で流れた。 「ホント面倒くせぇな、あいつら」 「えっ……ツッキーさんや、生徒会の顧問がそんなこと言っちゃったら駄目なんじゃ……」 「確かにな。でもよ、誰の意見も聞かない、1人で悩んで変に行動。で、結果失敗して更に悩んで…あいつらの場合は堂々巡りだろ。失敗は絶対悪いことじゃないしそこからどうすれば良かったのか考え、それで他の意見も聞ければ簡単に解決するかも知れねぇのに、あいつらは聞く気がねぇ話す気もねぇ。じゃあ解決しねぇよ」 「「……」」 雅さんとの時も思ったけど、サバサバぶっきら棒で冷たい言葉が多くて辛い時に聞いたらマジ泣き確定だけど本当にご尤も過ぎる意見で今は何も返せない。 でもなんだろう、この、高校生にする話じゃない感は…… まるで新卒に手を焼く同期の話にたまたま通りかかった先輩がする助言みは…… 「まぁ話は分かった。鶴来は俺も気に掛けておくし、西埜と嵩音はどうすっかなぁ……あ。風紀の顧問に去年はどうだったのか聞いてみるは」 「さっすがハルちゃんや!」 「先生って感じするな!」 「だろ。つうか小城も俺を先生として見てなさすぎだからな!」 「でも分かる!ツッキーって先生より友だちみたい!」 「だろう!玲音、分かるやつだな」 「そうともよ!俺は分かるやつなんだ!」 「……」 今度はツッキーが静かになった。 でも俺は分かるやつなんだよ。どうして静かになったのかってのも分かるやつなんだよ。 「ツッキー、感動し過ぎ。俺、分かるやつだから、気持ち分かるよ」 「呆れてんだよ分からず丸眼鏡!」 おやおや、今度は照れかく……丸いのは頭で眼鏡はスタイリッシュだって言ってんだろう!何回目だこの野郎!

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