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第188話
「いやいやいやいや!おかしいやろっ!?なんでキノコの話せなあかんねん!俺キノコ博士ちゃうし、シメジの生息地ってどこにあんねん逆に興味あるわ!でもって陽向あんな、申し訳ないねんけど、カバさんの話もせんで。てか、どっから出てきてんカバさん!ホンマなんで真面目なヤツが一人もおらんねん!!って、おったは!なあ、かなめん!!話ちゃうけどいっちゃんまともやったわ!夏休み何しよか!俺の話終わったらはなそな!」
な!
相槌を求めて来たけどスッと顔を戻してまた静かに見つめ合いを再開する俺たち。
さとし君と陽向の小声も聞こえたけどひな、ちょっとシーだ。と直ぐに惺士は返していた。そう、今は腹の探り合いを真剣に行っているんだ。大翔のツッコミとか陽向の正しい声に答えている暇はな――
「無視をすなあああ!!なんで誰もなんも言わへんねん!もしかしてここにおんの俺だけなん!?いや、逆に俺の存在見えとらんの!?てかさっきからなんて顔してん玲音!ここカ●ジちゃうで!ザワ…ザワ……せんでっ!!ハルちゃんも大人代表でなんでなんも言わんねん!さび…寂しいで、ホンマ」
「あ、だめ。さとし君、ごめんね」
ちょっと冗談のつもりで始めたのに大翔が不安な顔になって、こんな事になるとは思わなかった。なんていじめをしていた子が言いそうな台詞を思いついてしまって、どうしよう。そう思い始めた時、陽向が話だしていた。
「ひろ君、ちゃんと見えてるよ。悲しい顔しないで」
「ひなた」
大翔の声を横で聞きながら、陽向の言葉に胸がどうしても痛くなった。そして自らも重くなる空気に呑まれ気落ちしてしまう。すると学食の時みたくパンパンッ、弾ける軽い音が二回。
立てたのは、あの時と同じ人物だ。
「はいはい、悪いと少しでも思う奴は今すぐ大翔に謝る。んで、このお通夜みたいな空気は終わりだ。ったく、明日から夏休みだってのになんて空気作るんだよ。あいつらだけで十分だっての」
「ツッキーが先生みたいだ…」
「れっきとした先生だ!おらっ、いいから早く謝れ!で、次はちゃんと終わりまで考えとけ!大翔、無視して悪かったな。お前らが羨ましくて悪ノリした」
「わっ、ハルちゃん!髪ぐしゃぐしゃすんのやめっ」
なんかずるいな。大人って、大人だ……
大翔にごめんなさいをしたら俺もマジに取ってすまんかったと逆に謝られてしまった。
気を付けようと思った。俺、高1の夏……と言うタイトルをこの状況で思いついてしまい、こういう所だぞ!とマジで気を付けようと思った。
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