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第192話

「玲音、僕たち一足先に帰るね」 「じゃあな!19日にまた会おうな!」 うん。19日にねぇ、良い夏休みを~!そう言って陽向と惺士を見送ったのは先週の月曜日のこと。一週間遅れで今日は大翔を見送る為に玄関にいる。 「玲音、ほんまに帰らんの?一人寂しない?俺んち部屋余ってんで、こんか?」 「え!まじ!ん――…でも、遠慮するね。19日に泊まりに行くから!その時は宜しく!」 「遠慮なんかせんでええよ!でもまぁ、無理強いはしたないからな…せや!はよ来たなったらいつでも連絡してや!うちはいつでも大歓迎やから!」 「了解りょうかぁい!じゃあ、またねぇ」 「おう!ほんま、寂しなったらいつでも連絡するんやで!」 「お前は俺の母ちゃんか!早く車乗れ!運転手さんが待ってるんだよ!」 笑いながらギュッギュと背中を押して、玄関先で待っている運転手さんにこいつをお願いします!と預ける。車が発進してからも窓から顔を出して連絡!と叫んでるからもう笑いが止まらなくなって、わかった!わかったから大人しくしろよ!負けじと返した。 「ブハッ!まだ言ってるよ。またな――!」 陽向たちの時とは違って賑やかで、また車が見えなくなるまで手を振り見送った。さぁて、明日からの予定は~?何しようかなぁと思いを馳せながら寮に戻ろうすれば向かいから見知った顔が近づいてきていた。 「あ、今日帰るのか」 生徒会はさっき終わり、大翔が今日帰るということは他の人も同じく、なんだろう。 それならついでに彼も見送って、寮に帰ろうか。 でも待てよ、なんか、荷物少なくない?と言うか鞄一つ持ってないんだけど…… は!そう言うことか。 荷物なんか自分で持つもんじゃねぇ。使用人に任せるんだ。そう言うことだよ。 ですよねですよね――!例えそこまで俺様でないことが発覚していたとしても根はお金持ちだから準備して持つってことをしないんだよぉ!王道が今ここに!流石王道を行く男。 「久しぶりだな」 「お久しぶりです、潤冬さん。今から帰るんですよね?見送りま――」 「いや、ここに残る」 「へぁ?じゃあどうしてここに?」 生徒会の寮はここではないし専用棟も校舎もここにはないし、通り道でもない。生徒会が必要とするものは一つもない。 「ちょっと来い」 「へい?」 「昼飯は?」 「へ?」 「食べたのか、食べてないのか、どっちだ?」 「大翔と、食べました」 お昼前に生徒会の仕事が終わったと大翔は俺の部屋に来たから、そのまま二人で学食に行った。殆どの生徒が帰省しているからお昼真だったけど閑散としていて好きなもの頼み放題飲み放題。でもって高橋さんからのサプライズデザートも2人分貰い、しかも帰省しないと言った俺にお土産も作ってくれた。今は冷蔵庫に入っているけど。 「……そうか。じゃあ、またパフェでも」 「あ…今日は特製パフェが付いてきて……」 「………」 隠すこともしないで正直に言ってしまうと潤冬さんの足が止まった。 気まずさにやっべ。余計なこと言った!どうなるのこれ!人生カード引かせてくれ!そこまで行きついてハッとした。 これ、あの時のちゃんとご飯食べてるかって約束の……? ずっとしてなかったから忘れてた。潤冬さん、忘れてなかったんだ……

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