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第195話
ガックガクの足で良く辿り着いたもんだ。自分を褒めてやりたいです。胸倉を掴まれ半ば無理矢理登らされたとしても、俺の命がここで終わるとしても、良くやったと先ずは自分を褒め、そして、こう続けるんだ。
「後悔先に立たず!余計なこと言いやがって俺の口!!」
「うっせぇ、響くんだよ。静かに浸かってろ」
「はい……」
仕方ないから口まで浸かってブクブク息を吐いて順番を待った。
部屋に着いた途端、お前の変な提案の所為で汗かいた。風呂が先だと関白宣言され、さっきのお怒りからこれは風呂上がったら直ぐ飯にするから注文して置けよ、いいな?と言う無言の命令だと理解して、じゃあ待ってます。と言ったんだ。
それなのに今、ゆっくりお風呂に浸かっている俺。
あ、もしかするとこれは風呂と言う名の鍋で、地獄のスープを作っている最中なんだ。
いっそのことスープになる前にこの丁度いい温度のお湯を飲み干してしまえば……
「ブハッ!ハァ…ハァ…溺れかけた……」
「一人で何してんだ?」
「いえ、なんでも…あ、終わりました?じゃあ、俺も」
「おー」
全力疾走の後だからか、ご飯の前だからかいつもより覇気がない。まぁ半分……三分の一は俺の所為だから触れず静かに湯船に浸かってて頂こう。
サッサと上がり泣かす宣言はなかったことにして何事もなく任務を遂行し、スッとベッドに寝かせ子守唄を歌ってスヤァして頂こう。それがいいそうしよう。きっと今日まで生徒会の仕事漬けで疲れているに違いない。
シャンプーを流しながら、ここからが腐男子の真骨頂!購入したBL本を早く読みたいが為に身に付いたマッハ風呂を久々に出す時!
うおおおっ!俺の手が火を噴くぜええっ!
「びぁっ!」
「はっ、色気のねぇこえ」
「ちょっ何して!?」
「ん―?暇つぶし。つうか、背中弱かったんだな」
「………」
誰かこの色気垂れ流し野郎を風呂場から追い出してくれ。
縁に腕を乗せ頭を置き眠そう怠そうな表情でこっちを向き、水も滴るを体現し心地よく温まったおかげか言葉もいつもよりゆっくりで、ヤバい。なんかわかんないけど流されそう。
なんか、攻め可愛いって言っちゃう受けみたいな気持ちになる。ヤバい。なんか可愛い……
俺が身長185センチのイケメンだったらこのままきっと手だしてる。なんかヤバい展開になってる。
なにこれどうして俺はイケメンじゃないの……?身長これから伸びるからいい?
×××
いいとは……?
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