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第196話
「いや、良くねぇよ!潤冬さん、暇なら先に上がって髪乾かしてま」
「やだ」
「………」
ん――!!
心の中の俺が天を仰ぎ悶えだしたしなんか分かんないけど小躍りしてるし頭パンクした。
やだ!今やだって言ったよね!?言質取りましたああっ!突然の犬属性!イッヌ様!ヒャッホウ!!どういうことなの?これは夢なの?なんなの?疲れ全開なの?そう言うことなの?
俺の背中をツーっと指で触れたところからなんかおかしい気はしてたけどもう理解不能です。
取り敢えずこれ以上待たせる訳にはいかないからマッハ風呂を再開した。
「お待たせしました!上がりましょう!でもって直ぐにごはん――んンッ!」
「ふっ、ちゅっ…」
「ぅぅふ…」
怠そうにしていたのに伸びてきた手は素早くて、気付いたら湯気でしっとり柔らかい口が触れていた。
ご飯食べないといけないし疲れてるならちょっと昼寝して――なんてことも考えていたのに、一瞬でどこかに飛んで行くほど突然の出来事に頭ン中は真っ白になった。
ちゅっちゅっと文字にすれば可愛いのに耳に届くとそれはそれは生々しい音で、舌も加わると更にいやらしくなるミラクル。
「ぷは……」
「こっち来いよ。もう少し温まろうぜ」
頭は既にボーっとしているし、うん。頷き浴槽に戻るけど2人で浸かっても余裕がある広いそこの筈なのに招かれるまま座ったのは潤冬さんの太ももの上だった。腕は首に導かれ身を預ける。
あったかいの、気持ちいい……
「声、我慢するなよ?」
「え…?ひぁっ擽ったい!」
さっきみたく背中を指がツーっと滑り降りて勝手に体が跳ねる。
「気持ちいいの間違いだろう?」
「うぁっ!はぅ、ぅんん…」
くるくる指が背中を這い回り滑り降り、登ってまたくるくると好き勝手に動く。その度にビクビクと体が反応して、逃げたくてでも正面には潤冬さんがいるし背中には腕があるしで、首に回していた腕をギュッとするしかなかった。
「ふ、ぅぅぅ……」
「すっげぇビクついてる。もう何もしなくても震えてんじゃん」
「や…ゃだ…」
「んー?何がいやだって?」
額に瞼に口に、あやすみたいに口が触れ、それすらも擽ったくて指先まで震えが止まらない。
「せなか、の…しないで……」
「なんで?」
「は、ふっ…んんん、なんでもぉ…」
「理由が分からないと止め様がないな」
理由ってなんの?俺にも分かんない。どうしたら止めてくれるの?お願いもう止めて。
何を止めるの?ギュッてして…こわい……どうしたいのか何を言いたいかもぐちゃぐちゃで訳わかんなくて、でも何かをどうにかしようとしていて……どうしもうもなく、じわと目が熱くなった。
「やだ…も、わかんなっ…や……じゅんとさんっ」
「っ、マジ泣きじゃん。そんなに気持ちいい?」
「なにがっ、わかんない…こわっ、や…じゅんと、さ…じゅんとさんっ……」
「あ――……俺も限界」
「ひっ!いっ!?」
グッと腰に腕が回って今まで触れてもいなかったお尻を左右に開かれ、奥に何かを押し当てられ無理矢理入って来ようとする。痛みが電流より早く背中から頭まで駆け上り、体は無意思に仰け反り顔は天井を向いて、今度は歯がガチガチ震えだした。
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