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第203話
「寂しくないですか…?」
「は?」
「あ!う!いや、ちがっ!いたた……」
思っていただけなのに口が滑った。まずった。なんの脈略もないのにいきなりあんなこと言われたら俺なら不思議だし場合によっては不快に思う。
お前には関係ないだろうって言ってしまうかもしれない。
「お前は、いつ帰省するんだ?」
「へい?あ、俺はその予定なくて…」
「ふーん」
「え、なんの確認で…」
「夏休みの間、俺の部屋に来るか?」
「え?」
「ここじゃなく、寮」
え…えええ!?
脳内パニックに動けなくなっていると、じゃあそういうことだから後で荷物取って来い。
言うだけ言ってベッドを下りた。
そろそろ服を着ないと料理が運ばれてくるとか裸見られちゃうキャッ!とか考えてる余裕ない。本気で言ってます?本気と書いてマジと読みます?マジガチです?リアルに?
「もう飯来るから、見られたくなけりゃ服着るか、シーツ被るかしろよ?」
「ひっ!ご飯!メシ!服!どこにっ!うわっ、体いたい…助けて……」
「ブハッ!慌てすぎじゃね?おら、体起こせるか」
服はこれだ腕は上げられるかあーだこーだと珍しく甲斐甲斐しい。俺はもしかしたらあべこべの地球に迷い込んだのかもしれない。
何故なら怖いくらいに潤冬さんが甲斐甲斐しく俺の世話を焼くからだ。
いや、優しいに超したことはないんだけど、急にだと怖い。でもあべこべならこれが普通で、俺が慣れればいいだけなんだ。優しいの万歳。
「はっ!と言うことは、厳しさを教える為に未来から青い彼が来ているんじゃ……」
「なに言ってんだ玲音?早くしないと本当に飯が来るぞ?」
「あ、えっと!ひぁっ!」
腰を上げた途端、足に流れた雫にゾワワと鳥肌が立った。
そう言えばベッドではしてたけどお風呂でのあれでそれでそれの時は何もしてないことを思い出し、涙目で見上げると潤冬さんも思い出したのか、あぁ。そうだったなと頷き近くのバスタオルを腰に巻かれ風呂に運ばれた。
本当に今日はどうしたんだろう。明日が心配になるくらい甲斐甲斐しい……
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