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第204話
「おじゃましま……」
「あ!本当にれおちん来た!!ねね、いつの間に仲良しさんになったの!?じゅんじゅんあんなに満点野郎めっ!って言ってたのになんでどうして!さっきからじゅんじゅんに聞いてるのになんっにも教えてくれないんだよ!ひどすぎて僕、ムーッてしちゃうから!あやちも僕もただ知りたいだけなのに!教えてくれても良いと思わない?思うよね?ねぇ、聞いてる?れおちん!!」
「……」
高級マンション並みのオートロックを解除してもらい言われた暗証番号で動き出したエレベーターを一歩出た瞬間、嵐に見舞われました。鶴来亜睦16号です。
強い勢力で俺を巻き込むと腕を掴み揺さぶって来ます。それだけではありません、枦椋絢気圧と重なり高さを手に入れると今度は首に抱き着いてきて、最早逃げる余地はありません。
大変に危険な状況です。
引き続き実況を行うのは、一年の羽葉玲音です。
「亜睦、そろそろ放してやれ。その体勢じゃあ碌に話も聞けないだろう」
「ムーーッ!じゅんじゅんが何も言ってくれないからじゃああんっ!れおちんと仲良しさんになったのに独り占めして隠してたからじゃん!!」
「独り占めだとっ!?」
「僕の一番はあやちだけど、れおちんとお話ししたいもん!独り占めだめ!!」
「もっ」
「「も?」」
「ハッ!いや、あの、なんでもなくてですね!」
めちゃくちゃにビビりましたけど潤冬さん達の会話が余りにも王道過ぎて、いや俺のことが入ってるのは許しがたい事態なんだけどそれを抜きにしても過ぎるから、萌えが。
テンションといい身長差といい、改めまして王道尊い……
自分の一番をサラッと主張して牽制しているんですよね、俺を。分かります。大丈夫です。俺は大気圏外で少しばかり貴方達を見ていたいだけなんです。それはお許しください。何もせず傍観に徹したい所存でございます。
「取り敢えず中に入れ。亜睦と絢は菓子の準備してろ」
「ム――!そうやってまたはぐらかすんだ!いいもん!じゅんじゅんにはババあげないから!!」
「なっ!?今日ババ持って来たのかよ!早く言え。おら、行くぞ玲音」
「ばば……おばあさんが来ているのか…」
ここは男子校なのに、どうしておばあさんが……いやしかし、ご年配には優しくしないといけないからな。うん。接待頑張る。
×××
ばばの正体とは……?
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