214 / 291

第213話

じんじんと痛み熱を持っているのだろう頭を押さえぷくり、頬を膨らませる鶴来先輩は一人かけのソファにいる潤冬さんをギッと睨みつけていた。 鬼の形相になる前からの一部始終を全て見ていたから弁解しようにもなんて言葉を掛ければいいのか分からない。 ただ、潤冬さんの居なくなる前と同じくらい今は居心地悪い。 鶴来先輩と作った楽しい時間は地獄に逆戻りだ…… 「亜睦」 「なに?僕に謝れって?その前にじゅんじゅんでしょ!じゅんじゅんが謝ったら謝る!」 「……」 「僕我慢できないから言っちゃうけど!れおちんなんにも悪くないのに謝りに行くってじゅんじゅんを追いかけに行こうとしたんだよ!!勝手に怒ったのじゅんじゅんなのに!そのれおちんに謝んないで先に謝れって言うの!?おかしくない??おかしいよね!ね、あやち!!」 「ん。あゃ……る」 「っ………」 いつもはあんなに反論する潤冬さんも今はバツが悪いって顔してる。 やっぱり王道とは違う優しい彼だからなんだろうな…と居心地悪い中で逃避行をしながらしみじみ思った。 あ。目、合っちゃった…… どうしよう。反らすタイミング逃した。 どうしよう…… 「……あの…俺はもう、大丈夫ですから……」 言いながら鶴来先輩に目を向けつつ下を向く。色んな所からの視線が痛いんだ。どうしようもなくなって自分の手を揉んで気を紛らわしてみるけど、視線がどこかに行くわけじゃないから顔を上げ辛い。 「れおちんは黙ってて!」 「えっ」 意外なそれにやっぱり生徒会なんだなぁ… 律するところはちゃんとしている。可愛いだけではないと鶴来先輩に少しの謝罪と尊敬をした。

ともだちにシェアしよう!