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第218話

ハァ… 一人残った嵩音は自分のスマホを見つめ溜め息を吐いた。直後、ピンポーンとベルが鳴る。 扉を開け何も言わずに俯き佇んでいる相手にもう一度大きな溜め息を吐いた。 「ったく、俺はガキのお守担当じゃねぇんだぞ」 「………」 「分かったからさっさと入れ。じゃねぇと折角追い出したあいつが戻ってくんだろ」 腕を掴み無理やり中に入れるとそこ座って待ってろと言い自分はどこかに消えた。 戻って来た彼の手には似つかわしくない半透明の清潔そうな箱。それを開けるとポンポンと手際よく2、3と中身をテーブルに並べ、それが終わると次には服を脱げと命令する。 嫌だ。 無言で小さく首を振る相手を無視し、遊んでる暇ねぇんだよ。苛ついたように服を捲り上げた。 しかし相手は抵抗せず、今度はソファに横になり目を瞑った。まるで何をされるか知っているような態度だった。 「終わったら部屋戻れよ?」 「……」 「俺んとこには泊めらんねぇからな」 「……」 「ハァ…月極呼ぶか?」 その声にまた嫌だと首を振る。 好きな時に連絡していいと言ったのは嵩音自身である。だが夏休みもとは言っていない。玲音を呼んだのも断る理由を作るためでもあった。 本当はこのままではいけないとお互い分かっている。だが今はその打開策が思いつかないでいた。だからこんな風に隠す様な真似をしている。 「嫌なら自分の部屋戻れ」 「……」 「こんな姿、俺以外の奴に見せたくねぇだろ?」 「っ……」 眉を顰めた相手は下唇をギュッと噛み、何かを耐えていた。 元々大人しかった相手だがその態度にフッと息を吐き手際よく先ほど取り出したそれらを使う。 早く終わらせなければ、彼が戻って来てしまうのだから…… ××× 誰と何をしているのか、名探偵は君…?

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