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第219話

あれ? エレベーターから降りた直後、目の端に何かの動く影を見た気がして右を向く。しかし誰もいないしいる筈がない。そこまで行きついてドキッと嫌な汗が流れた。 「いやいやいや!こんな綺麗な所に出る筈ない!見間違いだ!気のせいだ!!」 早口に言いながら足も段々と速くなる。 いくら夏だからと言って簡単に出るわけない。うん。見間違いだ。 うんうん頷きながらいると急に扉が開き、驚かない筈なく、ギャアアア!と廊下の端まで響く大声で叫んでいた。 勿論、開けたのは帰りの遅いことを気にし、道に迷ったのかとからかいをネタに探しに出ようとしていた彼。 そして今はソファで口を抑え肩をずっと震わせている憎らしい相手。 「いい加減に、してください」 「っ、ブククッ…幽霊と、ま、間違える、とかっ…」 「……」 「ブフッ!すっげぇ叫んでたな。もしかして、チビってんじゃねぇか…?」 「ちびっ!?チビってません!!」 「ブハッ!必死過ぎっ!ダハハッ!駄目だ治まんねぇ!」 ムキ―ッ!!さっきまでめたくたに怒ってたのが嘘みたいに笑ってて、今はこっちが怒りで気がおかしくなりそうだ。 買ってきたアイス今すぐ全部食ってやりたい。 「れおんくん、ひとりでねむれまちゅか?おれといっしょにねまちゅ……ブッハ!アハハハッ!」 「ぐぐぐ…誰が一緒になんか寝てやるか…ベッドの真ん中占領するって決めてんだよ!!」 「ギャハハ!一緒に寝る気満々じゃねぇか!」 「そういう意味じゃねぇ!!」 怒り過ぎて立ち上がれば、じゃあどういう意味なんだ?真剣な声で問いかけられる。 え?と態度の急変に顔を見ると笑いを引っ込めた強い視線を向けられていて、温度差があり過ぎて某芸人の耳キーンなるわ!のツッコミを思い出してしまった。 ××× 笑いがないとやっていけない事態

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