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第220話

「そう言えば、遅くなった原因もまだ聞いてなかったな。どうしてだ?」 「え?それは、アイスが見つからなかったからで……」 「ふーん?だがあれは、ここから一番近いコンビニで俺が買った。それもつい最近な」 往復で10分もかからないだろう? ポンポンと問いかけられるけどまだ耳キーンなってるから上手く答えられないし本当にアイスをただ買っていただけなんだ。 「ふぅ…お前もか」 「え」 黙っていると何かつぶやいていて、聞き返そうとしたら何でもない。先に言われてしまった。 潤冬さんを見ていれば、スッと立ち今度は腕を掴まれる。 「おら、突っ立ってないで行くぞ」 「どこに!?」 グイグイ引っ張って来るから仕方なく着いて行く。本当にどこに連れていかれるんだろうか。 もしかして、玄関の外?まぁ廊下はカーペットが敷いてあるから追い出されても痛くはないけど…… 「あ?ベッドの真ん中で寝るんだろ?」 「え!?あれは冗談で!俺はソファで寝ます!」 「は?体痛くなんだろうが。明日にはもう一つベッド用意してやるから今日は――」 途中から話なんて全く頭に入ってこなかった。本当はバレているんじゃないかと一人でドキドキしていたから。 幽霊が本当に怖くて一人で寝たくなかったことが…… だだだだだって、潤冬さんの部屋に人なんてそうそう来ないだろうし夏休みだし誰が来るんだって……ひえっ。 でんぜんこわきゃかないんだからな!! マジで本当に真ん中で大の字に寝てやるんだからな。背後が怖いとかじゃないからな。決して怖いとかじゃないからな。 「怖くないんだからな!」 思いの外ふかふかのベッドに横になりながら強く念じた。 「……まじでチビってねぇんだよな?」 「チビってはいませ――なぜ今このタイミングで!?」 「いや、声に出てたから」 「……おやすみなさい」 「否定しろよ!」 なんでもないツッコミに、少しだけ安心してしまった。 あれだけのことで、ちゃんと眠れる気がした。

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