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第223話

あぐあぐかぶり付く気持ちいい食べっぷりに感心しながら、今日の予定は?となんとなく聞いてみる。 聞いたからと言って何をするわけでもないけど、俺は特にやることもなければ課題も今日の分は終えてしまったので暇つぶしはないかと思ったのだ。 「んあ?特にはねぇな」 俺と同じ答えにじゃあ何をしようか?予定を探す。 作り置きのご飯でも準備しようか。明日も明後日も俺はここにいるのに? お菓子でも作ろうか。冷蔵庫にも冷凍庫にもリビングの片隅にもお菓子がたくさんあるのに? 腕を組んでうんうん唸っていたからか、しいて言えば……と半分を食べきりながら続けた。 「しいて言えば、昨日の続きを読むくらいだな」 「昨日の?あぁ、お風呂の前に読んでいた小説ですか?」 「あぁ。奥の客間全部ぶち抜いて丸々書斎にしたから、本なら結構あるぞ」 「なるほど。他には何かないんですか?」 「興味なさすぎだろ!?」 「まぁまぁ、落ち着いて下さい」 俺の興味はもう別のことに移っているんだ。そう、この部屋の探索に。 何故気づかなかったんだ。目に入るだけで3つも開けていない扉があって、その一つに広い書斎がある。ここは何屋敷だ!? ただの学生寮だろ!? 俺の所は陽向と俺の個室とリビングダイニング、一段上がって畳があって、それでもここ寮かよ!?と思ったのに……ホテルかマンションか!? はたまた海外の俳優の隠れ家かなにかか!?書斎もだけど他への興味が立ちすぎてもう無理。今すぐ駆け巡りたい。ここはなに!?ととなりのあの子ばりにはしゃぎ回りたい。いたもん!とおばあちゃんに言いたい。どんぐり拾いたい。もふもふの大きいお腹で眠りたい。 落ち着くのは俺の方だった。いや、とても冷静だ。他人の声なんて頭に入ってこないくらいとても冷静なんだ。 だから早く部屋を探索したい。 「俺!この部屋探索してもいいですか!?」 「は?何言ってんだ?」 明らかに眉を寄せて嫌そうな表情をしている。これは奥の手を使うしかないかも知れない。 「だってここに来てからリビングと寝室とお風呂場しか見てないんですよ!?他にも部屋はありそうだし、今日はやることもないし……」 「……」 表情はまだ変わらず険しいまま。仕方ない。奥の手を使うか。 「お昼ご飯は潤冬さんのリクエスト聞きますから!お願いします!」 「……」 奥の手を使っても眉は寄ったままで、これ以上は何も出来ないしやっぱり日ごろ好きなものを食べれる潤冬さんに効果はなかったんだと諦めモード。 仕方ない。大人しく書斎に案内してもらって、物静かに読書をして夏休みを開始しよう。 ぶち抜いて作ったという広いらしい書斎を……

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