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第226話
はっくしょーいっ!
探索をしていた俺は遂に書斎と言うには広い、しかし図書館まではいかない部屋に迷い込んだ。一番上の本は目の前に見える木製の専用踏み台に乗らなければ絶対手は届きそうにない。だからこそ乗るしかない!取るしかない!駆け寄り登り一番上の棚から古そうな本を取った。
日本語でも英語でもないそれをパラパラ開いて内容のヒントになる挿絵がないか、探していたら急に寒気とさっきのくしゃみが出たのだ。
「もしかして……これって、呪いの本……?」
ゾッと悪寒がして素早く元の場所に戻す。やはり読めない文字の本は取るもんじゃない。そういえば、表紙は二重の円に五星と文字みたいなのが並んでいた。
よくよく考えてみたら、召喚系の魔法陣に思えて来て、深入りするのを止めた。
俺はまだ、この世界にいたい。BのLでハッピーでキャッキャウフフしていたいんだ。
「ん?なんか、この2冊だけ違う……」
次はどれにしようかと物色していると保護ビニールのかかった本が目の端に入り、スッスッと取り出しパラッと捲って直ぐにアルバムだと気づく。
「薄暗くて見にくいな……」
階段を降り机に座る。専用の明かりを付けて始めから開いて見ると赤ちゃんが2人。洋服を変え、寝ている写真、泣いている写真、満足気にしている写真と何枚もある。
捲っていると少しずつ大きくなっていくのが分かる。
スプーンを持つ2人、ぬいぐるみを奪い合う2人、2本の前歯を見せて大泣きしている2人。
同じ顔に色違いの服装、薄紫の特徴的な目の色。一発で潤冬さん達の写真だと分かった。
「ハハッ、今じゃ考えられないくしゃくしゃな泣き顔」
次のページ、次のページ、急かされるようにどんどん捲り新たな表情を見つけた。
掴まり立ちをするようになり、いちごやぶどうを両手に持って笑い、ミニトマトを遠ざけ意思を持ち好き嫌いを表す。その内に見つけた一枚。楽しそうに笑い両手を差し出す子と後ろに立ち泣きそうな顔で何かを見る子。隣の写真には後ろから撮ったのであろう2人の背中と奥には遊びたいと今にも飛びかかりそうなゴールデンレトリーバー。
「これ、どっちが潤冬さん……?」
まだ特徴の現れない子供の写真にどっちが潤冬さんでお兄さんか分からない。でも面白そうだから泣いている方が潤冬さんだと思うことにした。
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