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第236話

やっぱり気になる! 言うなと言われたけど来るなとは言われてない。上げ足だなんだと言われてもどうでもいい。 手に持っていたドーナツを半分食べたところでソファから立った。 2人が出て行ってから考えた。 それはそれは深く考えたさ。だって止める人はいなければ、時間は有り余るはで。要は暇を持て余す腐男子だから。 鶴来先輩の揺れる恋心についてを。 幼馴染で主従関係の2人のどこまでも強い絆。 わんこな枦椋先輩が懐いて好いているだけかと思えば、鶴来先輩も恋愛対象としてちゃんと好きでいて、お互いにそれを自覚している。 周りもそれを分かっているし、横槍も入れられないくらい周りが目に入っていない。仲睦まじく可愛い2人。 何をするにも一緒にいて、歩くときは彼を抱え食事の時は隣に座る。 あーんとなんでも分け合い仲良く食べる。 休日も2人でいる以外を見た人はいない。 でもそれがいい。周りも微笑ましく見守っていた。 ふわふわと可愛い2人がお互いを見て笑っているんだから、目の保養になる。 こんな恋愛がしたいと羨むことはすれ、おかしいなど思う人はいなかった。 ある一人を除いては…… そう、それが嵩音潤冬だった。 お互いに好きだからそれでいい?休日も2人でいる以外を見たことがない? いつもべたべたと気持ちわるい。 ねちっこすぎて胸やけで息がつまる。 出会い頭にそう言い放った。 僕らはそれがいいんだ。と言い返したが嵩音は更にこう言った。 枦椋の好きは、お前の好きと同じなのか? お前がただ一人になりたくなくて、恋愛だと思っているだけじゃないのか? そんなことない。この時はきっぱりと言うが口数の少ない彼から聞いたことはない。 そして、自身についても芯を突かれたようで焦りを隠せない。 どうしたの?問いかけるように頬を寄せ甘えてきた枦椋に初めてゾッとした。 お前の好きと同じなのか?1人になりたくないだけじゃないのか? 言葉が蘇り、怖くなった。今まで自覚したことのない恐怖だ。 自分は好かれているんじゃない。 名前を呼ぶから、ご飯を与えるから、ただ懐いているだけで、これは恋愛ではない。 ぐちゃぐちゃと言葉が頭の中で絡まりこのままでいていいのか分からなくなってしまう。 あれ? 揺れる恋心どこ行った?? と言うか潤冬さん悪役過ぎて笑える! もっとふわふわのあっちも格好いいこっちも好きすきー!の予定だったのに重すぎて思ってたんと違う!! いやいや、これから。

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