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第240話
鳴り続ける電話の名前を見て溜め息が出そうになった。
そして、これからのことを考えたら猛烈に萎えた。
電話に出る気力も失い、文面で準備するから10分待ってろ。そう送ったのだ。
話をするよりあいつにはこの方が良いんだ。何度も確認できるから。
後はスーパーマンだのと騒ぎ立てる面倒その1を引き連れリビングに来て、呼びに行った。
玄関を開けると俯きスマホを持ち俺を見上げる面倒その2が突っ立っていた。
「もう!遅いよ!10分経った!!」
「あぁ、そうだな。それで?元気そうなお前は何しに来たんだ?」
「えっちな竹ちゃん先生から逃げて来たの!」
「は?」
竹ノ原から逃げる?しかもえっちってどういうことだ。
意味の分からない言葉に理解できずにいれば自らこう続けた。僕の服を捲ろうとしたんだよ、と。
それで納得した。
「ここにはその竹ノ原から逃げて来たんだな?」
「そうだよ!だから匿ってよ!」
「んなにデカい手土産持ってか?」
「そうなの!来る途中でお腹空いちゃって、作って貰ったの!じゅんじゅんにもあげるから入れて!」
シャワーの後で気付いた月極からのあのメールはそういうことか。漸く理解した。
文面にはこう書いてあった。
なんかヤバいらしい鶴来が竹ノ原先生の所から脱走した。
なるほどな。いつもここに来る前に竹ノ原の所に行っていたのか。で、今日もそっちに行っていたが分が悪くなってこっちに来たと。
と言うことは、月極にもバレているだろうな。
俺の所にいると伝えるべきか、否か。それはもう少し考えてからにするか。
「取り敢えず、入るか」
「おっじゃましまぁ!」
「あぁ、確認なんだが……」
「なにぃ?」
玲音がいることを知っているが再確認のためにと、振り向きながらリビングの扉を開いた。
直後、雄叫びが廊下に響き、見れば丸頭が蹲っていたのだ。
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