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第246話
「はぁ……やっと寝たか」
「ふぇぇ、そうえふね……つかれたぁ…」
ソファに2人して寄りかかり天を仰ぎみてさっきまでのことを思い出していた。
ほかには?問いかけられた俺はどうでも良いことかも知れない小さな疑問を口にしたんだ。そしたら、なんだつまんない!まるでヒマワリの種を詰め込み過ぎたハムスターみたいに頬を膨らませ拗ねたように分かりやすく怒ってしまった。
でも仕方ない。気になったんだから。
それに鶴来先輩の言い方は、なんでもいいから何かないの?と言うニュアンスだった。
だからまぁ、良いかなって思って聞いたんだ。
お兄さんは、桜色の目なんですか?って。
潤冬さんは青みの強い紫色が印象的だけど、お兄さんは写真で見た限りでは青い感じはなかった。逆に色素の薄い紫か、桜の花びらのように淡い桃色。
それが気になっていた。
聞けばそうだと簡単に答えは返って来て、はぁ。そうなんですね。と間の抜けた返事をしてしまったのだけど。
それも気に食わなかったのかつまんないつまんない――!!と叫び暴れ、かと思えばマシンガントークでなんでどうしての嵐。
正直、びびった。
ツッキーの壁ズドンの時くらい心臓に来た。
それをなんとか落ち着かせる作業を今さっきまで2人がかりでしていたんだ。
「疲れて寝るとか、まじガキだな……亜睦」
「俺に気を使っていたんですよ」
「あ?」
「あんなの見ちゃって、見られちゃって、実はかなり気にしていたんじゃないですかね。潤冬さん以外にも言っていなかったみたいですし」
俺のそれに組んでいた腕を緩め、片肘ついて顎を置いた。
「ちょっと脱いでみろ」
「………はい?」
唐突に何を言い出すんだ。
でも凄いデジャヴ。まぁ今回の理由は皆目見当もつかないのだけど。
「亜睦が言っていた。お前もしていると」
「俺がですか!?と言うかちょっと待ってくださいよ。ついさっき服をひん剥かれた気がるんですが!」
「だよなぁ。傷なんてひとっつもなかった」
「そうですよ!鶴来先輩の勘違いです」
「ま、そうだよな。お前に限ってなぁ?」
「ないです、ないですって」
今日はみんなして混乱する日なんだ。
そう言う日もある。頷いてからドーナツにまた手を伸ばす。
「ん?お前何個目だ!俺の分まで食ってんじゃねえ!!」
「ふい?はひゃひ、もほへふ!!」
もぐもぐしながらそう言うと、般若の笑顔を向けられ、次の瞬間、雷が落ちた。
「んぴぇ!?なに?ここ避雷針あったっけ……?」
声にビクつき、鶴来先輩は目を覚ました。
起きてしまう恐怖に、違いますよ。雷様がいるだけです。適当なことを言ったけどねぼけていたらしく、そっかわかった。そういってまた目を瞑り、迎えに来た竹乃原先生におんぶされても起きることはなかった。
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