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第257話

「ン、んぅっ!」 口にまだカレーはいるし、飲み込めないし、どうして俺は、こんな日に限ってハーフパンツなんてモノ穿いてんだ。 ………夏だからか!!仕方ない!!!なくない!! スルスルと隙間に入り込む手を退けようと掴むけど、力で勝てる筈はなく、付け根の際どい所までは一瞬だった。 そして、なんでか潤冬さんは前のめりになり、俺のおでこにおでこを当てる、なんて少女漫画の泣いてる主人公を慰めるシーンみたいなあれなそれをしてきた。 意味分かんない。頭重い。顔近い。足から手、放して。 でもって俺のカレーはどうなった? 「ははっ、カレーの匂いすっげ」 「っ、んンッ、ふひゃっ」 「何笑ってんだよ」 色々ツッコミたいのに最早俺の口から出るのは堪えた笑い声ばかり。 「ふっ、くひっ!付け根のところ、くすぐった、いっ」 ハーフパンツの両方から手を突っ込み付け根の窪んでいる所を、ゆっくり何度も指の腹ですりすり撫でてくる。 腰から背中までがそわそわ浮く感じがするし、全身は何回もビクついて擽ったくて、逃げたいのに後ろはソファ。 おまけに足の間には潤冬さんがいるから閉じたくても閉じられない。 なに?拷問?擽りの刑? 俺はもう、カレーを諦めるしかないの? 「んっふはっ、ゃだ、やめっ……」 「なんだ?何もしてないだろ?」 「してっ、くすぐって!ん、は、はぁ、ぁ……」 「なんだ?一人でエロい声だして。もうへばったとか?」 「んンッ!もう、むり。やっ、だ」 強張っていた体から力を抜く。と言うよりも、もう力が入らない。 潤冬さんの言う通り、へばってる。 それなのに手は止まらずにスリスリ付け根で動いていて、体も俺の言うことを聞かず勝手にビクついた。 「んっ、はぁ……ぁっ、んっ……」 「…………」 「はっ、はぁ…ゃ………」 「すげえ熱いな。玲音の体」 声に反応して思わず顔を上げてしまう。 自分達がどこでどうしているのかは、頭にはなかった。 潤冬さんも急に動くと思っていなかったようで、気付いたときにはパッと触れていた。 「え、んぅっ……!」 「んっ!」 「あ、のっ!ごめんなさい」 両肩をグッと押してみたけど、やはりビクともしない。 でも何故か、逆にイラついたように舌打ちされ、体も倒して近づけてきた。 「ごめんなさいじゃ、ねえだろ?」

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