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第259話※

「ふ、ぅあっ、ぅぅ……」 ヂュウと吸われ、ズルズル頭が動く度に腿の内側は震えた。反り返っていた体は膝を抱えるように縮こまり、止まらない快感に涙が溢れていた。 抵抗はもう頭から消えて無くなり、今は震える指を重ね自分の口を隠すように当てるしかない。 いつの間にか嵩音も外側から足を抱えるよう腕を回し、動きやすい体勢になっていた。 イキたい……もう、やだ…… 気持ちいい。物足りない。イキたい。もう止めて。 羽葉の中で色んな感情がぐちゃぐちゃと絡まり、どうしたいのか、どうして欲しいのか、もう纏まりそうにない。 「んぢゅッ…ふっ、泣くほど良いか?」 「うぅ…じゅんとさ、ん……」 「ん?止めるか?」 足元から手をグッと伸ばし羽葉の目元を拭う。快感による涙と分かっていながら意地悪く質問をする。ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべながらだったが、彼はそれどころでなく、更に滲む視界ではその表情に気付ける訳がなかった。 何もされていないのに勝手に震える唇。何か言わないと……だけど、なんて? 焦りとジンジン熱を持っている自分のそれ、顔を撫でてくれる大きな手。 耳に熱が集まり、じわりと涙が溢れた。 口から出たのは浮かんでいたモノとは違う言葉だった。 「やめないで、くださ……」 「はははっ、すげえ。これからが、本番だ」 足元に戻っていく大きな手、起ち上がるそれにもまた顔が近づく。 何が本番なんだろう…… 小さくて最後しか聞き取れず、どうなるのか期待と不安に胸は今までに類をみないほどドキンドキン高鳴っていた。 「ひぅっ!」 声と共にお腹に力が入る。 じゅぷじゅぷ舐められるだけでなく、その下――アナルに指を差し込まれたのだ。 「はっ、んぁァッ」 知りたくない。 そう思っても勝手に力が入る度、嵩音の指を感じてしまう。 成熟した、大きくて骨ばった、自分と同じ男の手。 それなのに、熱は冷めるどころか熱くもどかしくなる一方だった。

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