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第262話『休み明け』

「だはーー!俺の夏休みカムバ―――ック!!」 机に突っ伏して嘆く俺。ぐでぐで潤冬さんの部屋で過ごして大翔の家……と言うかお屋敷?ですげぇ威力のあれ、ウォーターガンで遊んで、海行って花火もしたよ。遂にはバーベキューまでした。 一か月楽しかった。 本当に楽しかった。マジで。 マジ。 でも、楽しいことって思い返すと一瞬で過ぎてしまう。あんなに何時間も遊んだのに。 今日だって夏休みなら、遊んで夜中までアホみたいに笑って知らないうちに寝られたのに。 なのに、学校だなんて………残酷だわ。 ぶつくさ呟く羽葉にどう声を掛けようかとそわそわしていたのは、同室の陽向。 前日まで楽しそうに授業の準備をしていたはずが、登校してからずっとこの調子で心配していたのだ。 当の本人はまだまだ夏休みを満喫してたいだけで、何も心配いらないのだが。心のうちなど、本人しか分からないので、それも仕方がないのだろう。 「れ、玲音!次は月極先生の英語だよ!楽しいから、大丈夫だよ。ね!」 精いっぱいの良く分からない励ましに、近くで聞いていた惺士やその他の生徒が癒される中、泣きそうな表情の彼は呟いていた。 「ツッキーの?…む……」 「む?」 「ツッキーは、むりぃぃぃっ!!!」 ヒンヒン泣きながら、教室中に響いたのは彼の叫び。向かいに座る陽向は大きな声に目を点にしていた。 丁度よく入って来た月極は、その叫びに思わず頭を抱えた。 そして、教卓に授業の道具を置くと、静かに彼の元へと近づいて行く。 「俺の授業で良く言えたな」 「ハッ!!つ、ツッキー、さん?」 「あぁ、ツッキーさんだ」 見上げるとツッキーさんは腕組みをなされていた。 昼間だと言うのに顔にはビックリするほど濃い影が出来てまるで鬼。いや、般若様である。見えるわけないのに怒りに浮かぶ血管がビキビキ動いているように思えて、要するに…… ツッキーさん、ブチ切れ。 「あ、あははははっ!!ツッキーさん、お早いですね。流石、般若であらせるお方」 「あははははは」 「あは、あははははは」 「「あはははははは」」 「っだれが般若だっ!!夏休みボケも大概にしろっ!!!」 「うひゃいっ!綺麗な巻き舌っ」 この授業、無駄に質問責めにされる羽葉であった。 ××× ここがダメ:ツッキーの教室入りが早い。

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