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第264話

もしかしなかった。 いや、あるいはもしかするのだけど、それを待っていい状況じゃない。 要するに、華奢な彼は腕を掴まれ、ガタイの良い彼らと校舎裏にいる。一対三の見たことある緊迫した状況なのだ。 「潤冬さんに連絡……」 幸い自分のいる場所は離れていて、林の中にいるからきっと見えにくい。ここの地図と状況をすぐさま文字にし、サッと送る。 後はバレないよに身を潜め、彼の到着をま―― 「ダブショイッ!ヨッコイドッコイショー!!」 「・・・・・・」 どこかから聞こえたくしゃみ?なのかデカいかけ声?に目の前の4人の動きが止まった。そして、3人のうち1人がグループから離れ、近づいてくる。 羽葉は考えた。このままジッとしているのが賢明か、静かに後退り逃げるのが賢明か。 「この距離なら、逃げても分からない筈」 歩いてくる一人は、自分とは別の方向に向かっている為、逃げられそうだ。 だが彼は、大概のBLでその安易な判断が命取りなることを忘れていた。 そろりそろり、這うように後ずさる。ここがどこなのか忘れ、後ろなど確認せずに。 このまま脱出できる!そう確信した直後、パキッ!と枯れ枝を手で割っていた。 小さな音だと思ったが、そっちか!静かな林では遠くまで響いたようで、ガタイの良い彼が声を上げ方向転換し、こちらに走って来るではないか。 ヤバいと思うも速さではまず勝てない、逃げられないだろう状況に動けなくなった。 「マズいマズいマズいっ」 声ばかり焦り、何もしない。いや、出来ない。 そう思っていると、突如ガタイの良い彼の横から黒い影が現れ次の瞬間、ぐわぁ!!と悲鳴が響く。そのまま彼は草むらに消えるように倒れた。 「え、なにごと?」 訳が分からず、ただ茫然としていれば今度は別の所でぐはっ!うがっ!と2つ声が聞こえて来た。 いつの間にか華奢な彼の所に行き、ガタイの良い残り2人を倒したらしい。 ××× ヒーローの正体は?

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